UR都市機構の入居者が全国の高齢化率を上回った。2010年11月~12月に実施した「UR賃貸住宅居住者定期調査」で明らかになった。同調査は機構が1965年から5年ごとに実施しているもので、今回で10回目となる。
65歳以上の高齢者が入居する世帯は、前回の2005年度の調査では33・2%だったのに対し、今回は38・9%と4割程度まで増加した。特に高齢単身世帯の増加が著しい。65歳以上の単身世帯は14・9%(前回11・3%)、65歳未満の単身世帯は20・3%(前回20・8%)となった。
一方、高齢入居者からはサービスの充実を求められている。公的なサービスとしては、「デイケア」が47・5%、「在宅医療サービス」が45・5%、「ホームヘルプ」が40・4%と希望が高い。公的以外のサービスとして、「緊急時対応サービス」52・8%、「日常的な見守り、安否確認」29・2%、「食事宅配」27・0%。高齢化する物件のサービス充実が今後は求められそうだ。
同機構は、「デイケア」など公的サービスについては積極的に運営会社を誘致していく方針だ。
非公的な「緊急時対応サービス」などの導入については団地ごとに自治体の承認が必要なため「時間がかかりそうだ」としている。
一方、同機構では今年2月から高齢者500世帯を対象にNTT東日本やセブン―イレブン・ジャパンら民間企業と共同で、家庭向けクラウドデバイス「光iフレーム」を活用した商品のデリバリーサービスなどの実証実験を開始している。
当初は8月までの検証予定だったが、データが十分に集まっていないという現状を踏まえ、検証期間を12月まで延長。結果を分析し、他の物件での採用など今後の展開を検討するという。