不動産会社が外国人投資家向けビジネス強化
その他|2014年12月15日
台湾・タイ・シンガポールに拠点設立
東京に加え福岡や熊本でも購買熱加速
円安が加速し、外国人による日本の不動産への購買意欲が高まっている。
その牽引役が、シンガポール・台湾・香港などのアジアの富裕層だ。
その状況をビジネスに生かそうと、収益用不動産の売買仲介事業を強化する企業が増えている。
東京を中心に、賃貸仲介に強みを持つS‐FIT(東京都渋谷区)は、昨年末にシンガポールの事業会社を立ち上げた。
今年1月には、台湾、台北の一等地にオフィスを構えた。
紫原友規社長は「売買仲介から、管理、賃料の海外送金、納税管理、リーシングをワンストップで提供するのが強み」と話す。
同社は、今後、毎月20件の売買仲介を見込む。
「11月は17件成約しており、実現可能な数字」(紫原社長)
都内の中古の区分所有物件を売買仲介するランドネット(東京都豊島区)は、今年10月にタイのバンコクの事業所をオープン。
9月には、日本不動産投資に関する認知度向上セミナーを行った。
台湾では昨年4月に現地法人を立ち上げ、月に2回のセミナーには、台湾人投資家が毎回60人ほど参加する。
管理受託も合わせて行い、管理戸数の1割以上はすでに台湾人だという。
デベロッパーのクレアスライフ(東京都港区)も昨年10月から、外国人向けの販売事業をスタート。
半年で40件を売り上げた。
シンガポールの販売会には毎回100人ほどが集まる。
東京の物件の表面利回りは、あるデべロッパーによると新築で4~5%ほどと、日本の投資家では、収益化するのが難しい状態になっている。
その一方、台湾や香港、シンガポールに比べ、東京の利回りはまだ高く、海外の投資家からリスク分散に、最適な投資先だと見えるようだ。
福岡や熊本でも外資マネーが戻ってきている。
福岡の不動産会社によると、欧米の投資家からの依頼も来ているという。
また、熊本にも、台湾から企業経営者がツアーで不動産を見に来る事例も出ている。