高齢者入居を支援する動きが増加
大手損害保険会社が、高齢入居者を受け入れる賃貸住宅を対象にした商品開発に乗り出している。
損害保険ジャパン日本興亜(東京都新宿区)は8月3日、サービス付き高齢者向け住宅(以下 サ高住)の運営事業者を対象に、入居者が家賃や生活支援サービス費などを滞納した際の損害を補償する「サ高住用 家賃総合補償プラン」の販売を開始した。
2011年10月に「高齢者住まい法」が施行されて以降、サ高住の登録数は右肩上がりに増加し、2015年6月末までにその数は約18万戸に達している(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム調べ)。
サ高住の増加に伴い高まる、入居者による家賃や各種生活支援サービス費などの滞納リスクを解消することで、高齢入居者の受け入れをサポートすることが狙いだ。
補償内容は次の通り。
入居者が管理費を含む家賃や生活支援サービス費などを滞納した場合、それぞれ最大で12ヵ月分を補償する。
また、連帯保証人を必要とする入居者に対しては、協定先の公益社団法人成年後見センター・リーガルサポート(東京都新宿区)に登録する司法書士を紹介する。
保証人の代わりに任意後見(代理)契約を活用し、入居を支援する。
同社では初年度500件の販売を見込んでいる。
また、三井住友海上火災保険(東京都千代田区)とあいおいニッセイ同和損保保険(東京渋谷区)は10月1日から、高齢者入居者の死亡事故により生じる家賃の損失や、清掃・改装・遺品整理費用などの補償を特約として盛り込んだ火災保険の販売を開始する。
事故の発生した住戸だけでなく、隣家や階下、階上の部屋も補償対象とし、高額な介護機器や備え付けの家具、重い家具の移動なども補償するなど、充実した内容の商品になっている。
賃貸住宅の空室率が上昇する一方、増加する高齢者を積極的に受け入れている物件はまだまだ少ない。
大手損保が高齢者入居のリスクを解消する商品を続々と開発することで、高齢者入居者の受け入れが促進されることが期待される。