困窮者への家賃補助 利用進まず

法律・制度改正|2016年06月30日

  • twitter

昨年4月に施行された生活困窮者自立支援制度を使い、家賃1カ月相当の給付金を支払った件数が、1年間の全国累計で7803件にとどまっていることが分かった。
制度の利用が進んでいないことから、厚生労働省は民間企業との連携を強め、家主にも協力を呼びかけていく。


管理会社も知らず、認知拡大が急務


厚労省の実施調査によると、住宅確保給付金の支給件数は昨年度7803件となり、見込みを大きく下回った。
最も利用が多かった都道府県は東京都の1066件、市区町村では福岡県北九州市の256件だった。

補助金を受け取ることができるのは、離職して2年以内で一定の収入・資産を有していない65歳未満の人だ。
支給額は地域や世帯人数によって異なるが、東京都1級地で単身世帯の場合、月額5万3700円が上限となる。
期間は最長9カ月だ。

申請から受け取りまでの期間は数週間程度で、書類審査が行われる。
全国の市区町村が窓口となる。

相談に訪れるのは40代が四分の一で、次いで50代、60代となっている。
急な離職や老老介護による収入不安に関する相談が多いという。

想定に対して相談件数そのものが少ないことから、厚労省は民間企業に対し協力を求めている。
中でも、賃貸住宅業界の協力に期待しているようだ。
家賃は光熱費に比べて金額が高いため、滞納実績から困窮者を発見する確率が高いからだ。
だが、今のところ管理会社の認知度は低い。
本紙が北九州市・大阪市の大手管理会社10社に取材したところ、「社内全体で制度を認知している」という企業は一社もなかった。
「制度の認知が進んでいないと感じている。制度を広く知ってもらい、困窮者の早期支援を図りたい」(厚労省生活困窮者自立支援室・渡邊由美子室長補佐)

リクルートフォレントインシュア 顧客に案内
昨秋から一カ月以上の滞納者に


家賃債務保証のリクルートフォレントインシュア(東京都港区)は昨秋から、1カ月間家賃を滞納した顧客を中心に、家賃補助制度を案内している。
「これまで滞納した顧客に対する解決策が督促しかなかった。この制度を使うことで滞納を解消するだけでなく、本来我々が目指している滞納者の自立支援にもつながると考えている」(豊田茂取締役)


<生活困窮者自立支援制度とは>

生活困窮者自立支援制度とは、生活保護に至っていない困窮者に対するセーフティーネットとして自立を支援するものだ。
最大9カ月分の家賃を補助するほか、就労訓練や情報提供といった自立支援計画の作成を行う。
また、各自治体の任意事業として、就労訓練の実施や、宿泊所・衣食住の提供、家計管理指導や貸し付けのあっせんや子供への学習支援も行う。
住宅確保給付金の費用は国が4分の3、残りを各自治体が負担する。
制度全体の予算について、平成27年度は約500億円を計上していた。

検索

アクセスランキング

  1. 省エネ性能ラベル表示、開始

    国土交通省,リクルート,アットホーム,LIFULL(ライフル),大東建託グループ,積水ハウスグループ

  2. コロンビア・ワークス、「総資産1兆円へ」開発を加速【上場インタビュー】

    コロンビア・ワークス

  3. 明和地所、創業45年 浦安市で3000戸管理【新社長インタビュー】

    明和地所

  4. パナソニック、冷凍・冷蔵品用の宅配ボックス

    パナソニック

  5. 大手不動産会社で入社式

    レオパレス21,大東建託グループ,ハウスメイトパートナーズ,APAMAN(アパマン),常口アトム,武蔵コーポレーション,TAKUTO(タクト),三好不動産

電子版のコンテンツ

サービス

発行物&メディア

  • 賃貸不動産業界の専門紙&ニュースポータル

  • 不動産所有者の経営に役立つ月刊専門誌

  • 家主と賃貸不動産業界のためのセミナー&展示会

  • 賃貸経営に役立つ商材紹介とライブインタビュー

  • 賃貸管理会社が家主に配る、コミュニケーション月刊紙

  • 賃貸不動産市場を数字で読み解く、データ&解説集

  • RSS
  • twitter

ページトッップ