広告掲載数の制限案浮上

ポータル上の不当表示3619物件に増加

仲介会社に対しポータルサイトへの掲載件数を制限する可能性があることが、5日に分かった。

公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会（東京都千代田区）のポータルサイト広告適正化部会は、景品表示法や宅建業法に違反する不当表示を防ぐため動き出す。

同部会のメンバーはアットホーム（東京都大田区）、CHINTAI（東京都港区）、ネクスト（東京都港区）、リクルート住まいカンパニー（東京都中央区）に、2014年4月入会したマイナビ（東京都千代田区）を合わせた5社で構成している。
サイト利用者からの指摘などにより、疑わしい広告の情報をメンバー企業で共有し、不正表示のサイト掲載を確認した場合には削除している。

2015年度に共有された違反物件情報は3619物件だった。
うち、全体の6割を占める2147件は、首都圏の物件だ。

昨年はマイナビを除4社の共有件数が2184件であり、1年で1400件ほど増加した。
1社加入したことを加味しても、違反物件情報の増加傾向は明らかだ。

同協議会は「掲載物件の管理や入力ミスによって誤った情報を掲載しているケースも多い」と話す。
仲介会社が膨大な数の物件を掲載し、成約しても人手不足で掲載広告を消去できないなど、目が行き届いていない状況を問題視する。
故意でなくても違反には変わりない。
悪質な事業者への取り締まり強化だけでなく、適切な広告掲載を維持できる対策を講じるのも急務だ。

しかし、広告のルールとして会社ごとに掲載件数を制限するとなれば、ポータルサイト運営会社にとっては収益への影響が大きいため、慎重な構えだ。
昨年度の違反内容の内訳をみると、2130物件は入居契約が決まった後でも広告の取り下げをしていないなど、物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない広告だった。
残りの1489物件は、掲載している契約条件や設備が事実と異なっていた。
礼金を1カ月分支払う必要があるにも関わらず「なし」や「0円」と表示するケースなどが多く見られたという。
違反広告を掲載していた仲介会社は883社で、同協議会の加盟企業はそのうち474社と半数以上を占めた。

悪質な20数社に改善要望書

消費者庁は公益社団法人首都圏不動産公正取引協議会が公表した違反情報の共有件数を受け、同協議会に取り締まりの強化を要請した。

同協議会では、昨年度、複数回にわたり違反物件情報が共有された20数社の不動産会社に改善要望書を送付している。
主に首都圏と近畿地方の企業が大半を占めていた。
今後、改善されない状況が続けば、協議会が独自に違反性を調査し、厳重注意や違約金課徴の措置を講じる。
違約金は1度目の違反行為で50万円以下、2度目以降は500万円以下で、社名を公開することもある。

7月1日に公表した賃貸住宅の広告に関する公正競争規約違反行為で措置を受けた企業は3社だった。
掲載先はすべてインターネット広告で、自社ホームページが2件、ポータルサイトが3件。
おとり広告、取引条件や取引内容の不当表示など17物件に対し、違反行為が確認された。

最も違反件数が多かったのは新宿区の会社で、契約済みの物件の更新掲載を繰り返し、2週間から1カ月以上広告掲載をしていた。
ほかに保証料の不記載や、存在していない「24時間換気システム　浴室乾燥機」や「フローリング　システムキッチン」などの記載があった。
この企業は厳重警告と違約金・1カ月間の広告事前審査を課した。