地方で広がる猫共生型物件
企業|2016年11月30日
改修や新築の建売開発に採用
賃貸物件の付加価値創出や差別化を図るため、猫共生のコンセプトを採用する管理会社が増えている。
九州で約2万8000戸を管理する三好不動産(福岡市)は22日、リノベーションで猫飼育者を入居ターゲットとした部屋が完成したことを発表した。
単に飼育を許可するのではなく、猫の生態や特性に対応した設備を取り入れた内装になっており、中古物件の空室対策として提案し、今後、同一ブランドで展開をしていく。
第一弾の物件は、福岡市城南区の『HIIKAWA APARTMENTT』だ。
数カ月は入居希望者やオーナー、建築会社が見学できるモデルルームとして活用する。
築42年のアパートで、間取りは2LDKの50㎡。
賃料は、6万1000円以上を想定している。
壁面にキャットウォークやキャットステップを取り付けたほか、可動式のキャットボックスやネコ専用ドアを設置した。
猫は身を守るため高い場所に上ったり、低い場所に身をひそめたりする習性を持つためだ。
同社広報は「猫共生物件がきわめて少ない福岡に、猫部屋のブームを作っていきたい」とコメントした。
また、湘南エリアを中心に約1万2000戸を管理するユーミーらいふグループ(神奈川県藤沢市)ではこのほど、都内を中心に猫共生型物件をプロデュースしているクラシヲ(東京都葛飾区)と業務提携を結んだ。
年明けをめどに湘南エリアで猫共生物件を開発していく。
これは、今年から着手した収益物件を投資家に一棟売りする事業の一環。
年間の開発予定数20棟のうち5棟ほどは猫が飼育できる物件として企画をする。
1棟が2階建て1棟が6~8戸のアパートで、スキップフロア構造だ。
猫共生の仕様にすることで、相場より高めの家賃や長期入居が見込むことができる。
クラシヲの杉浦雅弘社長は「収益物件のコンセプトに猫共生を取り入れるのは業界的にも初の試みになると思う。経年による家賃の値下げを防げるのでは」と語る。
約1400戸を管理するAS東海(愛知県名古屋市)は、ぺット飼育可能への切り替えを進めている。
小型の犬猫が飼える物件として、差別化を図るためだ。
猫の場合、爪とぎや臭いを嫌がる家主も多いが、入居規約に去勢と室内飼いを盛り込むことで、猫のストレスを軽減し、住宅の損傷を抑えることができるという。
現在、管理物件の4割をペット飼育可能にしていることもあり、同社の入居率は97%以上を維持している。