民泊 新法見越し自治体が運営ルールを明示
法律・制度改正|2016年12月06日
京都市は悪質な無許可事業者には刑事告発
民泊新法の制定を見越し、自治体が民泊事業者に向けルールを明示する動きが出てきている。
福岡市は1日、福岡市旅館業法施行条例を改正した。
それに先立ち11月28日には民泊サービスを行う際の留意事項についての指針を出した。
市として事業者向けに細則を出すのは初めてだ。
旅館業法の改正では、一定の条件を満たした場合にフロントの設置義務を免除するなど簡易宿所の取得要件を緩和し取得を促進する。
福岡市は特区民泊の制度は活用していない。
そのため、民泊ビジネスを行う場合、旅館業法の適用が必須となる。
市は「旅館業法取得の要件を緩くしたことで、合法的な事業者を増やしていきたい。事業者向けのルールを形にすることでトラブルの数も減らしていければ」と話す。
市の担当者によると、民泊についての通報件数は42件と昨年度の3倍になっている。
民泊サイト『Airbnb』への福岡市内の物件掲載数は毎月100件ペースで増えており無許可民泊が拡大していると考えられる。
まずは、旅館業法取得に事業者を誘導していきたい考えだ。
京都市は1日から民泊などの宿泊サービスのトラブル抑制を図るための指導要綱を定めた。
無許可営業やその疑いがある場合には施設に関係者からの連絡を求める張り紙をする、市の指導に従わない場合には刑事告発などの措置を取ることを表記した。
これまで口頭で行政指導してきた内容を明文化することにより、悪質な事業者への対応姿勢を発信していく。
指導内容では、迷惑行為の防止として「早朝や夜間にかばんを引く音を立てたり、大声、大きな物音などの迷惑な騒音を立てない」「たばこの吸い殻、ごみのポイ捨てや、決まりに反したごみ出しをしない」など具体的な内容を盛り込んだ。
同市では無許可営業の現地調査を行い、調査指導対象施設879のうち212施設を営業中止にするなど厳しい対応を取っている。
門川大作市長は先日、厚労省の塩崎恭久大臣に民泊新法についての要望書を提出し、違法な営業が疑われる施設に対し、自治体に立ち入り調査や、営業停止を下せる権限を付与するよう主張した。
来年の成立が予想される民泊新法を前に、いかに事業者をコントロールできるか、自治体が動き出している。