城南信用金庫(東京都品川区)では民事信託の契約業務に注力している。
2016年4月から着手し、これまで取り扱い件数が約60件になることが8日わかった。
不動産を対象とした案件が7割を占めている。
高齢化社会に対応するもので、病気や認知症によって不動産や預金、株など財産の適切な管理が難しくなったときに備える手段として、顧客に民事信託を提案している。
同庫では2年前から、顧客の高齢化に備え成年後見制度の活用を進めてきたが、成年後見制度では資産を買い替えたり売却したりといった積極的な運用が難しいことから、資産規模が大きい顧客には有効ではなかった。
そのため、民事信託での資産管理を提案するようになった。
一方で、民事信託の普及に伴い、契約書の標準化を課題に掲げている。
信託契約には預金や融資に関することが大半だが、金融機関が介入していない契約書内容には不備が多く、対応できないケースもあるという。
同庫では3月以降、信託資産に関する融資の申し込みで、2件の契約内容に不備があり、融資ができなかったという。
吉原毅相談役は「金融機関として契約書の素地を標準化していく必要がある」と呼びかけている。