3都市で滞納額10億円超
統計データ|2017年03月27日
県営住宅の未収家賃アンケートを実施
本紙は都道府県が運営する公営住宅の家賃未収に関する調査を3月中旬に実施し、平成27年度の未収額と未収率が明らかになった。
未収率が1割を超える自治体もあった。
新たな住宅セーフティネット制度では、民間の賃貸住宅でも低所得者層の入居を受け入れるようになる。
家賃滞納を抑える対策が求められている。
平成27年度の累計家賃未収額が10億円以上だったのは、東京、愛知、大阪の3都市。
そのなかで東京都が唯一、未収額が減少していた。
25年度が19億6983万円、26年度が18億9135万円、27年度が15億2426万円だ。
最も多い25万5620戸を運営している。
家賃未収額がもっとも多いのが大阪市で約30億円。
戸当たりの未収額では福井、岐阜、徳島、高知などが高かった。
福井県では専属職員を増やして督促業務を強化し27年度の収納率は99%以上と改善している。
1万戸以上を運営する自治体で最も未収額が低いのが埼玉県だ。
2万7033戸を運営する。
25年度が1億1800万円、26年度が9336万円、27年度が7782万円と減少傾向だ。
埼玉県では家賃滞納の督促業務を含む管理を、埼玉県住宅供給公社が代行している。
初期に滞納者に接触することを徹底し、2カ月以内に未収家賃の7~8割を回収している。
平成26年度と比べ、未収家賃が増えている都道府県は13カ所、減っているのは29カ所だった。
地域によっては滞納者への連絡を自治体の職員が直接行っている。
また代行する場合も、指定管理者が複数社におよぶケースもある。
個人情報の取り扱いに細心の注意が必要な点からも、自治体と指定管理者のスムーズな情報共有や連携が難しい状況だ。
今秋には新たな住宅セーフティネットワーク制度が施行される見通しだ。
生活保護受給者や高齢者など住宅の確保に配慮が必要な低所得者を民間の賃貸住宅で受け入れていく。
自治体や家賃債務保証会社、不動産会社で構成する協議会が、その仕組みを運営していくことになる。