市場競争力の低い物件の過剰供給が原因
土地・建物およびマンション評価を手掛けるタス(東京都中央区)は2月28日、賃貸住宅市場レポートを発表した。
2016年12月期の首都圏賃貸住宅市況ではそれぞれ首都圏全域、東京都23区、東京都市部、神奈川県、埼玉県、千葉県のデータを公開している。
前年同期比で顕著な数字を表しているのは神奈川県の空室率だ。
東京23区で11ポイント台、市部で14ポイント台で推移しているのに対し、埼玉県は16.32ポイントから17.76ポイントで1.44ポイント、千葉県は14.32ポイントから15.61ポイントで1.29ポイントそれぞれ上昇。
一方で、神奈川県は13.50ポイントから15.44ポイントで1.94ポイントと最も増加率が高くなる。
さらに、RC造などのマンション系に比べ、木造や軽量鉄骨などのアパート系の空室率は前年同期比で約5ポイント上昇している。
タスの藤井和之新事業開発部長は「神奈川県では、人口減少の始まっている地域で市場競争力の低い物件がリーマンショック前から過剰供給されていた。そこから相続税対策の賃貸住宅が建てられ、さらにマイナス金利の影響で不動産への貸出額が急増したことで追い打ちがかけられた」と分析した。