家電製品に関する調査・研究、政策の立案などを行う一般財団法人家電製品協会(東京都千代田区)は、2020年から管理会社への家庭用エアコン適正処分の啓発に注力する。国土交通省や経済産業省・環境省にエアコン適正処理の通達を依頼し、22年2月には各省から事務連絡が出された。
管理会社に回収・運搬義務
家電リサイクル法では、家庭用のエアコン・冷蔵庫・テレビ・洗濯機のリサイクルについて、流通過程の各事業者が果たすべき義務を定めている。小売事業者は処分品の回収とリサイクル施設への運搬の義務がある。
同協会の調査によると18年のエアコンのリサイクル回収率は37.6%だが、ほかの3品目の回収率は70%を超える。エアコンの出荷数が年々増加していることを考慮しても、著しく低い。
同協会では、エアコンの低回収率の要因の一つが賃貸住宅からのエアコンの処分過程にあるとみている。賃貸物件において管理会社がエアコンを調達し、購入費用をオーナーに請求している場合は、管理会社が小売事業者に該当する。このことが管理会社の間で周知されていないため、エアコンの処分が工事事業者任せになり、産業廃棄物として処理されているケースが多いとみられる。
22年6月に国が開催した合同審議会で30年までにエアコン回収率を53.9%にする方針が決定。同協会は同月に公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(以下、日管協:同)に入会し、運営協議会への説明を行った。23年3月には日管協でのセミナー開催も計画している。
家電製品協会環境部の有馬聡部長は「管理会社と対話すると、大手以外ではエアコン処分に関する法的義務を果たす立場であることを知らない場合が多いと感じる」と語る。管理会社からは、「賃貸管理事業者がエアコン小売事業者に該当する場合があることがわかった。適正な処理に向け検討していく」といった反応があるという。
(2023年1月23日8面に掲載)