賃貸業界向けIoT商品花盛り
その他|2016年09月12日
賃貸業界向けに、IoT(Internet of Things、モノのインターネット化)商品の発売が相次いでいる。
スマートロックを中心に導入実績も徐々に増えてきた。
IoTサービスはこれから業界のスタンダードになるのか。
SQUEEZEはシンガポールの企業と提携し
スマートキーボックスを世界に先駆け販売
SQUEEZE(スクイーズ:東京都港区)はスマート化したキーボックスを世界で初めて販売する。
同社は民泊・ホテル・旅館に特化したクラウドソーシングサービスを展開しており、IoT事業を開発・提供するiglochome(本社:シンガポール)との間で、スマートキーボックスの日本における独占販売契約を締結した。
10月から販売を開始する。
Bluetoothを搭載し、暗証番号で開錠が可能だ。
Wi-Fi接続により遠隔で暗証番号を変更できるほか、接続できなくても指定のパスコードを入力すれば開錠できる。
内覧ごとに暗証番号を発行できるため、高い防犯性を保ちつつ鍵受け渡しの手間を省くことができる。
IoT商品の中で参入企業が増え始めたのがスマートロックだ。
これまでに、キュリオ(東京都渋谷区)やライナフ(東京都千代田区)が商品を提供してきた。
そこに加わったのが、リクルートテクノロジーズ(同)だ。
不動産管理専門のスマートロック『iNORTH KEY(イノースキー)』を開発し7月末に販売を開始した。
他社の商品より安めなのが特徴だ。
管理システムにより鍵の利用権限を設定、いつ誰が施解錠したかを記録するため、内覧業務を効率化できる。
仲介会社などのユーザーはスマートホンに専用アプリをダウンロードし、操作画面から開錠できる。
スマートホンがない場合は中継器を分電盤に設置して、管理会社が遠隔で開けられる。
取り付けはサムターン(錠の金具)上に製品を被せるだけと、設置が簡単だ。
開発した菅原健翁シニアアーキテクトは「従来両面テープなどで取り付けていたため落ちることがあった。当製品は落下を防止するためドアが磁石でくっつけるようにした」と話した。
リンクジャパン(東京都港区)は10月から、ドアの開閉センサー『eSecurity(イーセキュリティ)』を売り出す。
これまで一般家庭向けに販売してきたスマートホンで家電を遠隔操作する商品と合わせ、ドアの開閉に応じ照明やエアコンが作動する。
さらに留守中にドアが開いたときにアプリに通知することもでき、防犯面で入居者にアピールできる。
鍵、ドア、家電などの情報を、インターネットを通じて管理、確認することにより、入居者にとって省エネや高セキュリティの賃貸住宅が提供できるようになる。
一方でシステムの維持に毎月費用がかかることもあり、家主にとっては、IoT商品の導入による入居促進効果、家賃への反映と天秤にかけ、納得できるかが導入のポイントになってくる。
< 解説 >
賃貸業界向けのIoT商品の中でも、賑わいを見せているのがスマートロックだ。
それは、賃貸住宅業界において、鍵管理がいかに大きな問題であるかをあらわしている。
管理会社の知らぬ間に、仲介会社を偽った犯罪者が物件の合鍵を作り、空室を犯罪に利用しているケースも増加している。
過去には、仲介会社のスタッフが、無断で合鍵を作って入居者の部屋に侵入した事件も起こり、世間に衝撃を与えた。
いつ、だれが、どの部屋の出入りをしたかを履歴として残せるのは家主や入居者にとっても安心だ。
だがその分、不動産会社側にとっては、情報に対するセキュリティや取り扱いが今以上に難しくなる。
管理会社は、情報を管理する担当のスタッフへの指導やチェック体制を改めていく必要が出てくるだろう。