賃貸住宅業界の発奮期待
空室問題に悩む賃貸住宅業界の救世主と期待されるAirbnb(エアビーアンドビー)。
サイトを通じて、住居をホテルや旅館のように、短期間貸し出すことができるサービスのことだ。
国家戦略特別区域における旅館業法の特例も決まり、賃貸住宅の新しい活用方法として急速に注目を集めつつある。
他方、ホテルや旅館業界は、公衆衛生や善良の風俗の確保ができないと猛反対を続ける。
議論が広がりを見せるなか、4月8日に行われた「新経済サミット2015」(主催:新経済連盟)で登壇した福田峰之内閣府大臣補佐官のAirbnbをめぐる発言が注目を集めている。
真意を聞いた。
福田峰之氏(51)
内閣府大臣補佐官/自民党IT戦略特命委員会事務局長
問:Airbnbは旅館業法との兼ね合いもあり、グレーゾーンといわれる。「グレーならガンガンやっちゃえ」との発言は政権の意向をくんだものなのか?
福田氏「政権の意向だ。そういうことを聞くこと自体が間違っている。ビジネスチャンスがあるならゴチャゴチャ言う前にやったらいい。車にしろ、家にしろ、ワークシェアリングにしろ、死んでいる時間、ものを皆で有効に使おうというビジネスモデルというのはありえてしかるべき。時代が変わってきている。どんなに抵抗したところで、この大きな流れには勝てない。シェアエコノミーは時代の流れだ」
問:Airbnbは空室問題解決に寄与すると考えるか?
福田氏「もっている空室をどう利活用するかというマインドがあればこんな事態には繋がらなかった。ただ作って、待ち構えて、入りますか? 入りませんか?と聞くだけなら、高校生でもできる。空き家対策も税金でやるのではなく、こういうビジネスモデルができてくれば効果的な対策になる」
問:一方で、旅館業法の壁はある。Airbnbは世界190カ国超で使われていると言われるが、法改正した国もある。法改正がないままの参入には慎重になる。
福田氏「事業者はまず、規制とルールは何のためにあるのかという本質的なことを考えるべきだ。基本、消費者保護のためにある。規制が重要なのではなく、問題はその中身。その中身をきちんと担保して商売するというならグレーでもやれと言っている。事業者が規制の中身について、担保できるのであれば、商売をやってもいいのではないか」
問:規制がなくなれば、価格競争だけが加速しないか?
福田氏「値段を安くするために、居心地の良さをまったく無視して何でもやっていいということを奨励するつもりは無い。行った時にそれが清潔であるとか、嘘がない、すごく気が使われているのかといったところが担保されるのであれば、いろいろなサービス展開があっていいのではないかと私は考える。逆に悪い印象を持たれるような家を貸し出されると、貸した人だけでなく、日本全体のイメージダウンになるから、はた迷惑な話だ。家主や不動産管理会社の皆さんがそこに(宿泊ビジネスに)入ろうとするのであれば、相当勉強もしてもらいたいし、努力もしてもらいたい」
問:ホテル業界からは反対の声があがる。
福田氏「ホテル、旅館業界として、(Airbnbのビジネスモデルは)おかしいじゃないかという政治的ムーブメントもある。しかし、賃貸をやっている側だって、賃貸住宅対策議員連盟(石破茂・会長)のような団体があるではないか。空いている部屋、眠っている部屋があるのだから、使ったっていいのではないかというような政治的ムーブメントをつくっていったらいいのではないか。その時重要なのは安心、安全を業界で担保することだ」
問:Airbnbを含む、日本の宿泊業の今後の見通しは?
福田氏「実際、2000万~3000万人の人が日本を訪れるようになったら既存の宿泊施設だけでは、泊まりきれない。すでに地方ではちょっとしたイベントがあると、泊まれない。宿泊可能なマンションがあるのなら、泊まれるようにしてあげたらいい」「安倍政権は日本を、世界で一番ベンチャーを立ち上げやすい国にしようとしている。私は政府の一員としてそれを支える」