ホテル、物流・ヘルス施設を拡充
国交省は22日、不動産投資市場政策懇談会を開催し、2020年をめどにリート投資法人などの総資産額を30兆円に倍増させる目標を掲げた。
達成のためには投資市場の裾野と厚みの拡大が必要と、取り組むべき課題について議論。
観光、物流、医療介護を含むヘルスケアなど成長分野の不動産ストックの供給・再生の促進を図っていくとした。
観光は東京オリンピックに向け増加傾向の訪日外国人の受け皿となるホテル、旅館などの宿泊施設。
物流はインターネット販売などEコマースの普及による円滑な流通を支えるもの。
ヘルスケアは、サービス付き高齢者住宅など加速する高齢化社会の安定した居住として機能するもの。
こうした社会的な実需に基づき、拡大が見込まれる分野への投資を後押ししたい考えで、上場するリートへの税制優遇措置などを検討する。
国は投資市場の拡大に伴う地方創生への寄与を期待している。
空き家や空きテナントを再生するため、「ふるさと再生投資」事業の枠組みを整備していく方針だ。専門家の派遣、育成に取り組み、遊休資産や公的不動産を有効活用するための証券化モデル事業にも着手する。
また、国内の機関投資家や海外投資家に向けた的確な情報提供に加え、新たな資金調達の手段としては、注目が集まるクラウドファンディングの電子化を推進していく。
Jリートが取得している不動産はこれまで住宅とオフィスが中心だったが、近年ではホテル、物流施設など広がりを見せている。
合わせて、国内三大都市以外の地方にも分散しており、昨年8月時点で投資先は43都道府県に増えた。
投資対象と調達資金の多様化が進んでいる証拠だ。
しかし、地方都市ではリートが対象とする億単位の物件はそう多くないのが実情である。
そのような中で、福岡市や名古屋市ではターミナル駅を中心とする大規模開発が国内外の機関投資を呼び込む契機になると予想される。