地方都市で複合型の物件開発進める
トヨタホーム(名古屋市)は22日、老舗住宅メーカーのミサワホーム(東京都新宿区)を子会社化すると発表した。
2005年の資本提携からグループ会社化に進んだことで両社は更なる連携強化を目指す。
トヨタホームは28日からミサワホームの普通株式の公開買い付け等を行い株式の保有割合を51%にまで増やす。
買い付け金額は147億円に上る見通しだ。
ミサワホームの上場は維持する。
トヨタホームはトヨタ自動車のグループ会社で、売り上げは年間1671億円。
一方、ミサワホームの売上高は3993億円(16年3月期)と、売り上げ規模としてはミサワホームのほうが2倍以上で、まさにトヨタグループとしての決断と考えられる。
両社の資本提携は05年から行われていた。
ミサワホームは、バブル期のリゾート開発やゴルフ場事業で抱えた債務が負担となり、04年にミサワホームのグループ会社3社が民事再生法を申請。
06年にトヨタ自動車がミサワホームの債務を弁済した。
これまでに賃貸住宅の共同開発や土地の共同購入・分譲事業などを行ってきた。
ミサワホームは「バックヤードでの提携効果が大きかった。特に建設資材の調達や産業廃棄物の処理などを共同で行ったことで確実にコストダウンにつながっている」とその効果を語る。
グループ化により、さらに踏み込んだ開発事業などにも乗り出していきたい考えだ。
両社の思惑が一致する点は、少子化による人口減で今後の新築戸建てマーケットの縮小に危機感を抱き、事業領域の拡大に力を入れていく。
ミサワホームは賃貸住宅や高齢者向け施設、ロードサイド店舗建築・企画のノウハウがある。
さらに、収益用不動産を開発するビーロットと共同で不動産ファンド事業もスタートし、企画する建物のラインナップを広げてきた。
トヨタホームはトヨタグループとしての情報力や保有する土地・不動産も多い。
トヨタグループの保有する土地に2社共同で高齢者向け住宅や商業施設など複合施設の開発なども目指す。
ミサワホームは現在複合型の開発案件をいくつか検討しているという。
今後は、地方都市の市内中心部でコンパクトシティ型の不動産開発でも協働していく予定だ。