地方の空き家を運用する新事業開始
人材総合サービスのパソナ(東京都千代田区)が特定のイベントの際に必要となる、民泊物件や駐車場、貸しスペースなどの運営を家主に代わって行う事業を開始する。
第一弾として、8月11~16日、徳島県徳島市で行われる『徳島市阿波おどり』のイベント民泊実施のための事務局の運営を行う。
徳島市阿波おどりは、毎年約130万人が訪れる。しかし、徳島県内の宿泊施設の収容力はわずか1万6000人で対応しきれず、訪れた観光客が徳島県内で消費活動をせずに帰宅してしまうことが例年の問題となっている。
そのため、パソナはイベントなどの時期に有料で民家に寝泊まりしてもらうことを合法とするイベント民泊と、スペース貸しや駐車場確保の支援を徳島市と協力し行っていく。まずは、徳島県の地元で寝泊まりできる場所を提供できる家主や、イベントや駐車場利用できるスペースを直接呼びかけ、募集する。
物件を集めた後は、民泊仲介サイトのAirbnbや、駐車場などのスペース貸しを仲介するスペースマーケット(東京都新宿区)のプラットフォームを利用し、パソコンやインターネットが苦手なオーナーに代わり、物件情報の掲載から英語での対応まで行う。
パソナが今回民泊やスペース貸し、駐車場などのシェアサービス事業の支援をするのは、使用されずに放置されている住宅やスペースなどを観光振興に有効活用することで、地元住民と観光客との交流を生み出し、地方移住や雇用の創出などにつなげる仕組みを構築するためだ。
パソナは毎年、地元に帰り就職するUターンや地縁のない土地で暮らすIターンなど地方での再就職支援などを行っているが、移住に関してはその土地の住人との交流が移住したいと思う意思を生み出す重要な要素になることを実感している。そのため、観光客と地域住民との交流を生み出すニーズは今後も増えるとみる。
「移住先として選んでくれるようになり、人口が増えれば雇用も創出できる。観光振興で地域活性につなげていきたい」とソーシャルイノベーション部の加藤遼副部長は話す。
まずは徳島市でシェアサービスの仕組みづくりを成功させたのち、全国のお祭りやコンサートなど宿泊施設の受け入れ先不足の大規模イベントで同事業を行っていく予定だ。