19年3月までに全国ネットワーク
中小企業庁は18日、後継者不足の中小企業を支援する『事業承継ネットワーク』を2019年3月までに全都道府県に広げることを明らかにした。
事業承継ネットワークとは、中小企業や個人事業主に対して、都道府県が主体となり、地域の商工会議所や産業振興センターに業務を委託して事務局を設置。地元の金融機関や税理士と提携し、中高年の経営者に後継者問題についてのヒアリングを行う。希望者には親族以外への事業承継や、M&Aなどについてのアドバイスを行っていく。5年間で30万件の出張診断の実施が目標だ。
不動産業界において、事業承継問題は緊急の課題ともいえる。帝国データバンク(東京都港区)が1月に公表した統計では企業経営者のうち、業種別で最も高齢化が進んでいたのが不動産で、全業種の中で最も高く61.5歳だった。平均は59.3歳であり、2歳程度高い。本紙で過去に全国の不動産会社を対象に行った事業承継に関するアンケートでは後継者がいないと答えたのは全回答141件のうち42%を占めた。
その一方で、住友林業レジデンシャルや長谷工ライブネットが、地方も含めた2000~3000戸クラスの管理会社のM&Aを視野に入れており、神奈川のある不動産会社社長は「多店舗展開を進めており、もし廃業するなら事業を譲り受けたい」という声も上がるなど、中小企業の事業譲渡の可能性もある。行政と民間が情報を共有し事業承継問題に取り組んでいく必要がある。