800社超の不動産会社が代理契約
不動産会社を代理店に多く持つ福島電力(福島県双葉郡)が電力小売事業を撤退する。契約者に送った4月25日付の書面で明らかになった。電力会社を切り替えなければ電気が止まってしまうことから入居者に福島電力を取り次いできた不動産会社は対応を求められる。
福島電力は請求業務や電話応対が滞っている状況を改善できないためと撤退理由を説明している。電力会社としての電気小売事業をやめ、今後は電力会社の紹介事業に特化する意向を明らかにした。
既存の契約者に対しては新電力の『Loopでんき』に切り替えを促しているが、コールセンターも本社にも電話がつながらない状況が続いている。某代理事業者は「福島電力の対応は悪すぎる。撤退公表によってさらに現場が混乱している」と批判したうえで、「今後破産によって契約者への電力供給が急に停止しないかが最大の気掛かりだ」という。福島電力の書面では5月21日までとしていた切り替え期日を6月15日に延期するようだ。
福島電力は電力小売り自由化が始まった2017年4月から、小売り事業に参入。電気代が安くなること、収益の一部を福島県楢葉町に還元することなどを訴求し、契約数を伸ばしてきた。引っ越しのタイミングで入居者に福島電力の利用を案内しやすい不動産会社にとっては、代理店になることで契約時の手数料が得られるメリットがある。
11月時点で福島電力の代理店は1200社で約8割を不動産会社が占めていた。ただ昨年末から、誤った請求や二重請求が頻発、さらにコールセンターに電話がつながらなくなり、代理店への手数料が未払いになるケースもあり、福島電力の利用を控える不動産会社も出ていた。代理店の不動産会社数社に取材を申し入れたが、「現状調査の段階」と困惑しているようで、対応策を示す会社はなかった。