「食料届けなければ」必死の訪問
6日から8日にかけて西日本を襲った豪雨では多くの住宅が浸水し流され、賃貸住宅にも甚大な被害を与えた。管理会社は想定外の大雨災害に直面し、避難情報の発信や食糧調達、安否確認に奔走した。移動がままならないエリアでは安否確認がまだ続いている。
全住宅被害が損壊・浸水含め2万4150棟に上った西日本豪雨は、賃貸住宅にもすさまじい被害をもたらした。大手管理会社の賃貸住宅830棟以上に被害があった。被害の大きかった岡山や愛媛で管理会社は対応に追われた。
7日夕方、岡山市内に避難指示が発令される中、500戸管理する地元管理会社のコザックス(岡山市)は物件対応に奔走していた。社員総出で被害が大きいと思われた物件20棟を巡回し、入居者に安全への呼び掛けを行った。
市内北区の6階建てマンションは、約30cmの床上浸水。1階の駐車場が水に浸かり、入居者は身動きが取れない状態になっていた。住居部分の2階以上には浸水がなかったため、待機することになった。同社の石田竜也店長は「大雨がいつまで続くか分からない。とにかく食料を届けなければと思った」と当時の状況を振り返る。近くの食料品店でカップラーメンやパンを買い出し、雨や泥にまみれながら入居者に配って回った。訪問時には、安堵の表情を浮かべた入居者もいた。
「災害時は物件巡回を徹底している。非常時にこそ管理会社の質が問われる」(石田店長)
2日で96棟訪問
愛媛県大洲市では街の中心を流れる肱川(ひじかわ)が氾濫し4600世帯以上が浸水した。愛媛県内を中心に5000戸管理するアメニティーハウス(愛媛県松山市)では大洲エリアの管理物件96棟約700戸のうち、川から周辺1キロ圏内に立つ28棟約150戸が浸水した。