大津地裁は3月27日、家主に対し元入居者が支払済み更新料の返還を求めていた訴訟で借主側の請求を棄却した。昨年1月の京都地裁判決に続き、賃貸住宅の更新料返還を求める訴訟で貸主側の勝訴が続いている。
原告の元借主は、2000年8月、月額賃料5万2000円、2年ごとに賃料の2カ月分の更新料が設定された賃貸住宅に入居。7年間に及ぶ入居期間中に3回、合計26万円(最後の更新時は1カ月分のみ)の更新料を支払った。退去後、「更新料は消費者契約法10条または民法90条に反し無効」と主張し、家主に支払い済みの更新料の返還を求めていた。
貸主側代理人の田中伸弁護士は、「更新料有効の流れをさらに加速させる判決」と評価。また、「消費者契約法10条違反の判断基準をより明確にしたという点も興味深い」と指摘している。
消費者契約法をめぐる訴訟で争点となることの多い10条とは、消費者の利益を一方的に害するかどうかを問うもの。更新料返還請求訴訟の場合、「事前に更新料があることを知っていたか」そして「十分な情報が提供され、多くの物件の中からその物件を選択することができたか」が問題となる。今回の大津地裁判決は、両方の点を認めた。「この判決は、消費者契約法関連訴訟で重要な意味を持つ」(田中弁護士)という。なお、借り主側はすでに控訴している。
現在、大阪高裁で争われている京都の更新料訴訟は、夏ごろに控訴審判決が下される見通しだ。借主、貸主双方とも京都大学の有名教授による意見書を提出するなど、更新料の妥当性について法律研究の専門家までもが論争を繰り広げる展開に。「大阪高裁がどんな判断を下すのか、最後まで余談を許さない」(田中弁護士)緊迫した情勢が続いている。