URの賃貸住宅「一部民営化」で事業仕分けの余波広がる
法律・制度改正|2010年05月03日
4月26日に行われた政府の行政刷新会議による「事業仕分け」第2弾では、独立行政法人2団体が対象となった。UR都市機構の一部賃貸住宅の民営化案が飛び出すなど、突っ込んだやり取りが展開された。
運用戸数76・4万戸、約160万人の入居者を抱える「日本一の大家主」UR都市機構が、「事業仕分け」の対象となった。4月26日に実施された行政刷新会議は、UR都市再生機構の行う賃貸住宅事業について、評価者13人中10人が「事業規模縮減」と結論付けた。
仕分けでは、高齢者、低所得者向け住宅など政策目的の住宅と市場家賃の住宅を切り分け、政策目的部分については各自治体に任せ、市場家賃部分は民営化、民間に売却などにより段階的に民間にシフトしていくべき、と結論付けた。
政府資料によると、平成17年調査のUR賃貸住宅の入居世帯の世帯主平均年齢は54・3歳。平均世帯年収は505万円。65歳以上の高齢者がいる世帯は33・2%、そのうち高齢単身者の世帯は、11・3%を占める。
都市再生機構はもともと、都市部の住宅不足解消を目的としたもの。しかし、昭和53年には8・4%だった三大都市圏の総住宅空き家率は、平成20年には12・1%まで上昇。都市部では住宅不足が解消され、さらに空室が目立ち始めている。都心の一等地に大型物件を供給するURの賃貸住宅は、周辺の民間賃貸住宅経営者にとっては驚異であり、業者からは「民業圧迫だ」との声も出ていた。
一方で、低所得者などを対象とした公営住宅の数は不足しており、行政による住宅支援の必要性が指摘されている。
また、都市再生機構の都市再生事業についても13人中12人の評価者が「事業規模縮減」と結論付けた。