適格消費者団体NPO法人京都消費者契約ネットワーク(京都府京都市)は10月29日、学生マンション大手のジェイ・エス・ビー(京都府京都市)を相手取り、更新料条項の差し止め請求訴訟を提起したことを発表した。
同団体は、更新料条項は消費者契約法10条により無効であると主張。更新料条項の停止を求めて訴訟を提起した。訴状によると、ジェイ・エス・ビーが用いていた更新料条項には1年あたり約3カ月分の賃料相当額の負担を強いるものもあるとしている。
ジェイ・エス・ビーは「訴状が届いていないので分からない」とコメントしている。
9月、東京の適格消費者団体・消費者機構日本がハウスメーカー系管理会社を相手取って更新料条項を含む内容の差し止め請求訴訟を提起した。更新料条項が初めて差止訴訟の対象となったこと、近畿圏での訴訟事例が多かった更新料問題が東京まで飛び火したことなどから、業界内で話題になった。
京都消費者ネットワークは、これまでに遅貸借契約における定額補修分分担金条項や敷き引き条項の使用の差し止め訴訟を提起しているほか、NTドコモやKDDIを相手取り携帯電話の解約違約金条項に対する差し止め請求訴訟を起こすなど、消費者問題に積極的に取り組む適格消費者団体。差し止め請求訴訟は、消費者団体訴訟制度にもとづく訴訟。内閣総理大臣から認定を受けた適格消費者団体かが訴訟を提起できる。契約内容を無効にすることを争うのではなく、不当と判断される勧誘行為や契約条項の使用差し止めを求める。
更新料返還請求訴訟の最高裁判所判決を待たずに、消費者団体による差し止め訴訟が広がっている状況に対して、業界内で憤りが広がっている。