2年空室の家がシェアハウスに
2016年04月04日 | リノベーション
JR中央線、東京メトロ丸の内線「荻窪駅」から徒歩10分の場所にある築40年以上になる全4戸賃貸物件が、2年空室のまま放置されていた。
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地上2階建てで、現在フリースペースの1階は、以前は八百屋の土間だった。
共用部に必要最低限のリノベーションを施し、「DIY可能」にすることで人気物件に生まれ変わらせたのがサンクチュアリ(東京都世田谷区)だ。
騒音が当たり前の青梅街道沿いにあるため、工具や大工道具を使用して作業できる。
カスタマイズ物件を好むアート関連の入居者を集めるため、物件名を「アトリエアパートメント」に変更した。
作品の展示・販売ができるショールーム兼アトリエを1階に構えた。
同じ志を持った住人同士が集まるので、コミュニティが形成しやすいことも特長だ。
風呂やキッチン、トイレは共同なので実質シェアハウスになる。
口コミだけで、半年後に満室になった。
外壁はモルタル仕上げに。
道路側に面する土間の引き扉は、古めかしさで味わいを引き出すためにエイジング加工を施した。
アトリエとなる土間や、6畳の和室だったリビング兼ワークスペースの壁面はどちらもオフホワイトの石膏塗装にした。
また、押し入れや間仕切りを撤去し、床をベニヤ仕上げにした。
台所は木の風合いのカッティングシートを使ってカントリー調に演出。
給湯器を新しくし、古びた浴槽は撤去してシャワー空間に改修した。
入居者も共用部の改修に協力しているため、達成感を共有できたという。
居室のカスタマイズは事前相談でできる限り広い範囲で対応できるようにしている。
床畳の撤去や間仕切り工事、窓を防音にしたり、入居者それぞれに深緑や花柄などのクロス仕上げにしたりと自由なカスタマイズが施された。
入居者は皆、個性的だ。
出身地の九州から北上し、3カ月ごとに住まいを転々とし、東京に落ち着いた元旅人。
個性的な画風で人気を集めるイラストレーター。
フランスのヴィンテージ雑貨を買い付け、日本で販売するバイヤー。
日本人男性を恋人に持つスペイン人建築デザイナーの4名だ。
4番目の女性は、1階のフリースペースで有料のスペイン語教室とパーティーを開くなど交流も盛んに行っている。
賃料は5万4000~5万6000円、共益費1000円、水道・光熱費が1万円。
全部屋2万円上乗せして2人で入居することもできる。
初回契約では登録料で3万円だ。
広告費やリノベーション費用をかけずに満室になった。
今後アートを表現できるコミュニティ賃貸として人気が続くだろう。