4つの異なるデザインを採用
2015年09月28日 | リノベーション
名古屋市郊外で13戸の空室があった全21戸の築40年アパートに、
4パターンのリノベーションを施し、3カ月で満室にしたのは、
不動産会社のカーサノバ(愛知県名古屋市)だ。
今回リノベーションしたのは、最寄りのJR春田駅から徒歩15分の立地であるうえに駐車場も少ないことから車通勤者の入居は見込めなかった。
そんな不利な条件の物件ゆえに、他にはない特徴を出すため、
同社の兼田知英社長は「一人暮らしが長く、ありきたりな賃貸物件に飽きて他にはない住空間を求める入居者」をターゲットとした。
すべての部屋の間取りは一緒で、2LDKから1DKに変え開放感をもたせた。
畳だった個室はすべてフローリングに貼り替えた。
内装デザインは異なる4つのタイプを設けることで、
さまざまな嗜好を持つ入居者が、好みのデザインを選べるように、バリエーションをもたせたのだ。
そのうち最も早く入居が決まったのが、Aタイプのブルーテイストのさわやかな部屋だ。
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奥の個室は、ターコイズブルーの壁に、複数のブルー系塗料を施したような木目調の柄の床材を採用。
ダイニングはより濃いめの青い壁と真っ白なフローリングのコントラストが、
まるで真夏の海と白い砂浜を連想させる。
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またBタイプは赤、青、黄色、緑のビビットな4色の壁が印象的な明るい部屋。
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Cタイプは木材を砕いて固めた構造合板の壁が特徴、
Dタイプはオリエンタル調の模様の壁が非日常的な雰囲気を醸し出すなど、
それぞれ違う表情を見せている。
施工費は各部屋120万円前後で、賃料は8000円程度アップした。
内見前に2戸が、完成から1カ月以内に8戸が決まり、3カ月で満室になった。
入居者は男性が7割、女性が3割で、27歳前後が多いが、中には60代もいるという。
名古屋市内に通勤している入居者もいるが、
一般賃貸にない個性的デザイン性に加え、家賃が新築では38㎡6万5000円程度のところ、
同物件は34㎡で4万9000円程度という広さに対する割安感が決め手になったという。
なお、同物件は釘打ちができる壁や、飾り付けができる棚を設置するなど、
入居者が自由に部屋に手を加えられるカスタマイズ対応もしている。
同社は、リノベーションやデザイナーズ賃貸などのこだわり物件を紹介するウェブサイト「名古屋ホシみっつ不動産」を運営する賃貸仲介業を主軸に、マーケティングを生かしたリノベーションの企画施工を手掛けている。
兼田社長は「キッチンや収納建具を流用することで施工費用を抑え、リーズナブルな賃料設定にできました。加えて、当社がリノベーション賃貸を得意としている仲介会社だからこそ、周辺の不動産会社さんが動きやすい情報や案内準備、交渉への対応などが大きかったように思います」と語る。
同物件では、アクセントカラーが映える見栄えのいい写真の掲載や、
入居者が飾り付けできる棚があることなどを明確に打ち出すことで、物件の魅力をPRしたという。
「賃貸物件は作るだけではなく、『決まる』までやりきる姿勢が大事だと常に思っています」(兼田社長)