管理会社の業務には、物件の写真撮影や共有部清掃など専門性を必要としない仕事が多い。物件の巡回にかかる時間を最大のコストだと考えたアクシスモーション(東京都新宿区)田中祥司社長は、管理業務を地元主婦に外注する仕組みを開発した。昨年2億円の出資を受け、地域の活性化も見据える同社の考えについて話を聞いた。
学生ベンチャー時代に巡回時間の無駄感じる
亀岡 どのようなサービスですか。
田中 不動産管理会社の空室清掃や物件の写真撮影などの業務を受託して、物件近くに住む主婦が代行するというサービス『PMアシスト』を提供しています。サイト上で、発注から業務の進捗、結果報告までを確認できるというものです。
亀岡 管理会社の下請けですね。
田中 そうです。1案件平均2000円前後で受注しており、作業時間は45分程度です。月間で3万件ほどの業務を代行しています。
亀岡 なぜこのサービスを始めたのですか。
田中 学生ベンチャー企業で、物件を借り上げ、シェアハウスにリノベーションして留学生を住まわせるという不動産業をやっていました。当時は、留学生も少なく入居者同士のトラブルも多かったことから、よく物件に出向いていました。600戸ほどを管理しており、そのほかにも物件清掃や共有部の電球交換など、専門性を必要としない業務のために時間を取られることが多く、管理会社にとっての最大のコストは巡回時間にあると感じていました。その経験から、物件の近くに安心して任せられるスタッフがいれば...と考え、このサービスにたどり着きました。
アクシスモーション
田中 祥司 社長
1985年7月10日生まれ。東京都文京区出身。2007年、法政大学在学中にルームシェア関連の不動産会社に創業メンバーとして参画。2010年にアクシスモーションへ入社し、2012年代表取締役に就任。趣味は健康のために始めたジョギング。長い時は1時間半ほど走るという。
- アクシスモーション
- 本社所在地 : 東京都新宿区市谷本村町3―22 ナカバビル8F
- 設立 : 2010年7月 社員数 : 23人人 資本金 : 1億3025万2900円円
- 事業内容 : 不動産管理会社向け業務支援システム『PMアシスト』の開発・販売
経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。