物件の内見案内をする際に、必ずと言っていいほど利用する社用車。リースではなく購入して保有する不動産会社が多いが、管理の手間や車検切れのリスクがつきまとう。複数台保有する企業の車両管理の実態に警鐘を鳴らすのは、法人向けカーリースを手掛けるアイ・ティ・エス(東京都杉並区)の富田一成社長だ。保有車両が抱える危険性と解決策について話を聞いた。
起業のきっかけは中古車売買の仲介
亀岡 変わった社名ですね。
富田 法人向けのカーリース事業『スマイルカーリース』を手掛けており、社用車を使用する中小企業を中心に約5000台導入していただいています。社名は「Intellgence(インテリジェンス、知識・知的情報)」「Trading(トレーディング、交易)」「Services(サービシズ、商品)」の頭文字を取ったものです。技術や物を売りたい人と買いたい人をつなげられる仕事をしたいという思いを込めています。
亀岡 一目見て何の会社かわからないのは具合が悪い。国内だけで何百万社と企業があるなか、社名を見ただけで何をしている会社かがイメージできるほうがいい。会社を大きくするには、3つの条件があります。
富田 何でしょうか。
亀岡 ひとつは、名前を売ることです。業界で知らない人はいないといわれるくらいになるには、業界内への宣伝が一番です。良い例は、消費者金融の武富士です。いわゆるサラ金は、昭和50年ごろ、テレビや一般紙に広告を出すことができない時代でした。そんななか、創業者の武井保雄氏が私のところに相談に来ました。まずは業界で有名になることだと進言し、金融業界の関係者しか見ない専門紙に広告を出すようになりました。
富田 亀岡先生が進言されたのですか!?
亀岡 武井氏とは親しい間柄です。業界専門紙への広告掲載で瞬く間に「武富士とは何者だ」と有名になりました。その後、彼に電通の9代目社長、成田豊氏を紹介して、あの有名な、レオタードを着てダンスをするCMが誕生しました。サラ金のイメージ向上に寄与し、その後は消費者金融の広告が出しやすくなったともいわれています。
富田 新聞だけでなく、さまざまな業種に関わられていますね。
アイ・ティ・エス
富田 一成 社長
1965年12月15日生まれ。東京都杉並区出身。大学卒業後、都市開発を手掛ける企業に入社し、5年の経験を積んで、独立。海外の商品や知的情報の販売権を取得し、国内企業への卸業を手掛け始めた。そんななか、海外からの国産中古車の需要の高さに気付き現在の事業のキッカケとなった。趣味は、サーフィンで週に一回は海にでる。そのほか、マラソン大会にも年2回以上は必ず出場するほどのアウトドア派だ。
- アイ・ティ・エス
- 本社所在地 : 東京都杉並区荻窪5―11―17 第2和光ビル7階
- 設立 : 1994年12月 資本金 : 1000万円円
- 事業内容 : 法人向けカーリース事業、中長期専用レンタカー事業、タクシー車両の売買
経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。