ネット通販の拡大とともに注目を浴びている宅配ボックス。分譲住宅では付加価値として、賃貸住宅では空室対策として必須設備になってきている。33年前からこの業界のトップを走り続けこれまでの導入数は3万125棟(2018年3月時点)。フルタイムシステムの副社長であり、その子会社フルタイムロッカーの社長である原周平氏に、業界の問題点と今後進むべき道について話を聞いた。
管理の経験生かし運用重視の機能開発
原 はじめまして。フルタイムロッカーの原と申します。
亀岡 社名はどういう意味ですか。
原 365日24時間の対応ができる宅配ボックスという意味を込めています。31年前に、親会社のフルタイムシステムの現社長で、私の父でもある原幸一郎氏と亀岡先生が対談をさせていただいております。
亀岡 懐かしいですね。同志社のラグビー部の同僚や後輩を引き連れてこれから販売網を広げていくという時でした。
原 今年で設立33年目になりますが、お陰様でようやく宅配ボックスが誰にでも認知される存在になり3月時点で、導入数は3万125棟となりました。
亀岡 当初は、販売に苦労されていました。しかし、運動部出身のメンバーは団結力が違いますね。同志社といえば大阪証券取引所の元社長・巽悟朗氏のことを思い出します。彼は25歳のころに光世証券を設立して一代で東証一部上場企業にまで育て上げた大物です。やり方は部活そのもので、人を動かすことが上手でした。
原 巽さんは雲の上の存在です。今でも父は人を動かすことがうまいと感じます。昔と今ではやり方は違えど、大事なことはコミュニケーションですね。社員一人一人の特性をよく見て、やりがいを持って仕事に向き合ってもらうことが大事だと考えます。そのためには業界がどうあるべきか、自分たちの会社が何をすべきかということを明確にして社員に伝えています。
亀岡 大事なことですね。宅配ボックス業界の問題点は何がありますか。
原 まず一番問題になるのは、配達物の盗難です。多くの宅配ボックスは、配達業者が荷物を入れる時に暗証番号を決め、不在連絡票に記載して受取人のポストに投かんします。窃盗犯はこの不在連絡票を狙っています。入居者もポストに鍵をかけていることが少ないため簡単に盗まれてしまいます。
亀岡 不在時に荷物を受け取ることのできる宅配ボックスでありながら、盗難されては意味がありませんね。
フルタイムロッカー
原 周平 社長
1974年12月28日生まれ。大阪府堺市出身。高校時代は競技スキーに没頭。「息の長いスポーツをしたい」と93年、日本大学ゴルフ部へ入部。当時、10年間以上日本一を続けていた強豪校でゴルフの腕前を鍛える。ベストスコアは69。現在の趣味はアウトドアで月2回は、キャンプやバーベキューなどに出掛けているという。北海道で直営農場『フルタイム・ファーム』も運営している。
- フルタイムロッカー
- 本社所在地 : 東京都千代田区岩本町2-10-1
- 設立 : 2014年4月 資本金 : 1000万円円
- 事業内容 : 宅配ボックスの開発・製造、販売、保守、リースおよびレンタル
経済評論家 亀岡 大郎 氏
大正15年京城生まれ。新大阪新聞経済部長を経て、経済評論家となる。文藝春秋、サンデー毎日など一流紙で、経済・財界問題を中心に、精力的な活動を続ける一方で「自動車戦争」「ゲリラ商法」「IBMの人事管理」などベストセラー多数。