高齢者入居が繁忙期商戦のカギ

大手管理会社の商品投入相次ぐ
繁忙期を前に、賃貸住宅に高齢入居者を受け入れるための仕組み作りを進める不動産会社が増えている。
孤独死で他の入居者に賃貸できない期間に生じる家賃損失や、リフォーム費用などを補償することで高齢者の受け入れを促し、入居率アップを図るのが狙いだ。
首都圏や関西で約7万5000戸の賃貸住宅を管理する東急住宅リース(東京都新宿区)が35歳以上の高齢入居者を受け入れるために11月から提供を開始したのは、死亡した場合に生じる家賃損失や原状回復費用などを補償する保険付き入居支援サービス「YUYUパートナーズ保証」だ。
家賃の支払い能力があるにもかかわらず、年齢が理由で賃貸住宅への入居が困難な高齢者をサポートするとともに、高齢者の入居にリスクを感じるオーナーの不安を解消するのが狙い。
入居時に家賃1ヵ月分を保証料として支払うことで、最長24ヵ月分相当の家賃や、居室内の死亡事故にまつわる損失などが補償される仕組みだ。
また、付帯サービスとして、所有する不動産に関する活用・売買・相続相談や、24時間無料健康相談なども利用することができる。
賃貸業界最大手で約86万戸(本紙全国賃貸管理戸数ランキング2015調べ)を管理する大東建託(東京都港区)も、グループ会社の少額短期保険ハウスガード(東京都港区)が今年8月に販売を開始した賃貸住宅経営あんしん補償保険「オーナーズガード」を活用し、高齢者の受け入れに積極的に取り組んでいる。
保険料をオーナーが負担する仕組みの同商品は、死亡時の家賃損失や修理費、遺品整理にかかる費用なども補償する。
毎月支払われるサブリース賃料から保険料が差し引かれるため、オーナーに支払の手間は一切ない。
管理会社やオーナーが、高齢入居者を受け入れるための仕組み作りをサポートするための商品も登場している。
三井住友海上火災保険(東京都千代田区)とあいおいニッセイ同和損保保険(東京都渋谷区)は、高齢入居者死亡時の家賃損失や清掃・改装・遺品整理費用などの補償を特約として盛り込んだ火災保険を、10月1日から販売している。
本紙の取材に対し三井住友海上火災保険・広報担当の平川藍氏は「既存の火災保険加入者は、特約として付帯するだけなので手軽に利用できます。発売以降、特に多いのは個人オーナーからの問い合わせです。入居者の高齢化に危機感を感じている人が増えているように感じます。他社にない珍しい商品なので、今後に期待しています」と、手応えを感じさせるコメントをした。
総務省統計局によると、平成27年9月15日時点の65歳以上の高齢者人口は3384万人。
総人口に占める割合は26.7%と過去最高で、今後も増え続けていくこと確実な状況だ。
また、同省統計によると、平成25年の高齢単身者が住む共同住宅数は現在、210万世帯で、高齢単身世帯の約4割に相当。
これは前回調査から66万世帯の大幅増で、高齢者の受け入れ先として賃貸住宅の存在感が急速に高まっていることが如実に表れている。
人口減少時代が近づきつつある中、今後の賃貸経営にとって高齢者を受け入れる体制の整備は、ますます重要になってくるだろう。

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