民泊 閣議決定前の駆け引き続く

180日制限めぐる攻防激化
5月末とされている民泊関連の法務整備をめぐる閣議決定を前に、不動産や旅館業の関係団体が、政治家を巻き込んだ激しい攻防を続けている。
19日の規制改革会議案で突如出た「民泊上限日数180日」という制限に対して、不動産業界は、先週、撤廃を求めて動いた。
民泊に反対姿勢を貫いてきた旅館業界の中には、日数制限を事実上の落とし所にしようという考えもあるようだ。
全国賃貸住宅経営者協会連合会(以下、ちんたい協会:東京都中央区)と、賃貸住宅業界の政治団体である全国賃貸住宅経営者政治連盟(以下、ちんたい政連:中央区)は、民泊の年間提供日数上限の撤廃などを求める内容の要望書を、25日、石破茂衆議院議員に提出した。
これは、両団体が開催した総会に石破議員が出席した際に行われたものだ。
総会には自民党国会議員の議員連盟である、ちんたい議連に所属する議員も多数参加した。
参加した議員に対し両団体のメンバーが要望書を手渡しする場面も見られた。
要望書で求めているのは、19日に規制改革会議が内閣府に提出した草案に書かれた「民泊の年間上限日数を180日に制限する」という文言の撤廃だ。
180日以内とうい条件では空室を宿泊ビジネスに転用して収益を上げることが難しく、不動産業界からすると冷や水を浴びせられた格好だ。
ちんたい協会では総会に先立って、ちんたい議連に参加する議員344人全員に対して、180日という制限があると民泊そのものの実施が不可能であるということの説明を行い、周知を徹底したという。
民泊への反対姿勢を崩さない旅館・ホテル業界では、約2万軒の旅館やホテルが加入する全国旅館生活衛生同業組合連合会(全旅連:千代田区)が、観光議員連盟と生活衛生議員連盟に働きかけている。
清澤正人専務理事は「組合としては上限日数30日を適正な期間としてみなし、各議連に要望を出している」と話す。
ただ、「180日はもう決まったものと思っている」と話している関係者もいることから、上限日数180日が通ればよいという空気もあるようだ。
一方、不動産業界の中でも成り行きを見守っている勢力がある。
中間点を模索しているのが、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(日管協:中央区)だ。
末永照雄会長は「日数制限を設けることには原則反対だ。民泊で活用されない期間のみを賃貸住宅として貸し出すことは、事実上不可能。ただ、住宅と旅館を区分する必要があることは理解している。共存共栄できる制度作りを目指したい」と語った。
公益社団法人全日本不動産協会(全日:千代田区)は慎重派だ。
「推進するにしても、東京・大阪といった都市部と地方とでは温度差がある。各エリアの支部と行政とですり合わせながら進めていく必要がある」という。
公益社団法人全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連:千代田区)は連合会としての意向は発表していない。
今後の国の動きを踏まえて検討するという。
どちらも、国会で決まった内容に合わせていくという対応だ。
公益社団法人全国消費生活相談員協会(中央区)の吉川萬里子理事長は「空室を活用することには賛成だが、宿泊者・物件の提供者・既存の入居者の安全性の確保が最優先。今一度原点に立ち返り、内容をきちんと詰めていく段階にある」(吉川理事長)と警鐘を鳴らす。
営業期間180日の規制については「宿泊業をメーンに物件を活用したいのであれば、旅館業法を取得して実施するべきだ」と語る。
閣議決定後は国会での審議に入り、来春の施行が目途となる。
その間に参議院選もはさむことから、最終決定にいたるまでには世論の動向にも左右されそうだ。

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