ヤミ民泊 近隣住民から苦情殺到

旅館業の許認可を受けていない「ヤミ民泊」に対して近隣住民から通報が殺到していることが分かった。
今年4月1日以降、東京都23区の保健所が受けた違法な民泊運営への苦情件数は、少なくとも216件に上っている。
大阪市も148件の問い合わせを受けた。
保健所の対応軒数 昨年に比べ倍増
旅館業の許可を受けずに営業行為を行う「ヤミ民泊」に対する苦情が増えている。
本紙が東京都の各区、大阪市、京都市、福岡市の保健所に行った電話取材では、昨年度に比べて問い合わせの件数が倍増しているという回答が目立った。
新宿区では4月1日から5月末までに44件の苦情が寄せられた。
2015年度は1年間で95件だったが、今期はわずか2カ月で前年の4割に達した。
昨年度、京都市ではヤミ民泊を疑う問い合わせが276件にのぼり、今年5月にはヤミ民泊専用の通報窓口を設けた。
現在は件数を集計していないが、担当者は「今はもっと増えている」と話している。
保健所では事実確認の上で所有者の特定、勧告などを行っている。
だが、急増する苦情を前にし、「今後も増加するなら対応しきれなくなる」と不安視する声が多かった。
苦情の多くは集合住宅にかんするもので、「外国人の出入りが多い」や「夜間の騒音がひどい」といった状態から、民泊営業を疑い調査を求めるものが大半だ。
一方で行政も対応に苦慮している。
中央区は現状について「国による制度化への動きが進んでいるが、たとえ法案化されても近隣住民の理解を得られなければ民泊は普及しないのではないか」と不安を漏らした。
国家戦略特区に指定される大田区では、通報件数は9件にとどまった。
今年1月に認定を受けてから区の相談窓口で221件、電話で855件の問い合わせがあったが、民泊に対し否定的な考えを伝える内容は少ないという。
民泊の制度化をめぐる政府の動きは、6月2日の閣議決定以降も活発だ。
今月10日に厚生労働省と観光庁らが開いた「『民泊サービス』のあり方に関する検討会」では、ヤミ民泊の取り締まり業務の一部について民間委託を検討する声も上がっている。
訪日外国人の数は年々増加しており、観光庁は15日に2016年の訪日客が過去最速ペースで1000万人を超えたと発表した。
宿泊施設の受け皿として民泊の法制化が急ピッチで進められているが、その一方で急速な変化に対応しきれない国民との温度差が広がりつつあるようだ。

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