少額の不動産投資をネットで開始

1.7兆円運用のケネディクスが新会社 3年で100億円規模目指す
不動産投資がインターネットで気軽にできる時代がすぐそこまで来ている。不動産運用大手のケネディクス(東京都中央区)が不動産を投資対象にしたクラウドファンディング会社を立ち上げた。国内で900兆円ともいわれる、眠れる現金預金資産が不動産の価値向上と活用に向けられれば、不動産投資市場は一気に広がる可能性もある。
不動産運用大手のケネディクスは10日、不動産が投資対象のクラウドファンディング事業を行うビットリアルティ(東京都港区)の設立を発表した。シンクタンクの野村総合研究所(以下、野村総研)と共同出資し、資本金の総額は2社で4億9500万円。ケネディクスは主にリートやファンドから不動産の運用を受託し、2016年末時点で約1・7兆円の受託資産残高を有する。
新会社のビットリアルティでは、出資者にリターンの入る投資型クラウドファンディング事業を行う。投資対象は不動産に限定し、インターネット上で出資者を募集する。出資額は10万円以下になる予定だ。特別目的会社(SPC)が出資者から集めた資金で不動産を購入し、運用と出資者への分配を行う。ケネディクスは、商品開発やSPCから不動産の運用を受託する。野村総研は、クラウドファンディングのプラットフォームづくりなどを行う(上図参照)。デベロッパーや他社のAM会社が参加する仕組みも構築し、まずは3年後に100億円規模の運用を目指す。
日本銀行が6月27日に発表した資金循環統計によると、国内の個人資産は1809兆円あるうち932兆円が現金預金といわれ、超低金利の環境下で眠れる資産と化している。ケネディクスは「これまで機関投資家を中心に、BtoBのビジネスを展開してきたが、初めてBtoCに参入する」と話す。購入金額が数千万円から数億円とハードルの高かった不動産投資だが、少額で投資できる商品を運用実績のある大手が提供することで、国内の資産運用に向けられる。将来は、同事業に投資の助言を行うロボアドバイザーなども導入し、他の企業と提携した資産運用提案も視野に入れる。
証券会社や信託銀行の窓口で、株や投資信託などと合わせた少額の不動産投資のアドバイスを受けるのが当たり前になるかもしれない。
ポータルサイト運営のLIFULL(ライフル:東京都千代田区)もクラウドファンディングに期待を寄せる。今年1月には、クラウドファンディングサイトを運営するJGマーケティング(同)を子会社化した。現在開発中の『LIFULL HOM’S空き家バンク』と連携し、空き家の再生案件を手掛ける事業者と投資家をマッチングしていく。井上高志社長は「国はリノベーションの市場規模を12兆円としているが、クラウドファンディング事業はその礎になるくらいまでに成長させたい」と話している。
不動産小口化商品に詳しいサタスインテグレイト(東京都中央区)の佐藤一雄社長は「ネットを使い、不動産に少額投資できれば利用者も増える。一方、リスクを顧みない投資家が出てくるとトラブルにつながる。事業者側は投資家に向けて、サイト上でリスクを正確に伝える責任が問われる」と話す。

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