賃貸仲介のIT重説、10月1日解禁

賃貸仲介取引において、ITを活用した重要事項説明(IT重説)の本格運用が10月1日からスタートする。遠隔で対応できるため、利用者のみならず不動産会社の業務効率化にもつなげられる。今後、宅建業法の法改正が行われ、電子書面での契約が可能になれば、スマートフォン一つで契約業務が完了する仲介ビジネスの姿が現実味を帯びる。
IT重説の解禁により、賃貸住宅を借りる側だけでなく、不動産会社側の業務効率化にも一役買いそうだ。IT重説とは、これまで対面を必須とした重要事項説明を、テレビ電話やスカイプなどインターネット上で行うというものだ。有識者による検討会を経て2015年8月から17年1月にかけて社会実験を行い、1071件を実施。そのうち賃貸取引は1069件行われたが、大きなトラブルがなかったことから本格運用に踏み出す。


不動産会社の期待も高まっている。IT重説が10月1日に運用開始するという情報が、各不動産団体のサイトで紹介されると、窓口になっている国土交通省には「どのようにやればいいのか教えてほしい」と不動産会社から問い合わせが入ってきた。現在、全国10会場で行う説明会は満員だ。
利用者側のメリットは、契約者が遠方に住む場合、店に足を運ぶ機会を減らすことができる点だ。一度内見に足を運び、その後戻ってから物件が決まれば、不動産会社が事前に重説と契約書の書面を2部ずつ送っておくことで、遠隔でIT重説を行い、重説と契約書に署名の上返送してもらえば来店せずとも契約手続きが完了する。重説と契約のための来店を省き、利用者は交通費などを削減できる。
事業者側からは、IT重説を行う時間帯を決めることで効率的に業務が行えるようになったという声が上がっている。ニーズの高い夕方以降にIT重説の予約を入れるように業務を変えたことで、昼間は内見や外回りの仕事を集中して行い、無駄にかかっていた移動時間の短縮になっているという。
社会実験に参加し747件のIT重説を行ったユーミーネット(神奈川県藤沢市)では、土日に内見業務、平日の夕方にIT重説を優先して行い、土日の接客数を増やして、新規顧客を獲得した。
課題は、いかに早くIT重説のシステム利用に慣れるかにある。9月8日には、国交省が運用に関するマニュアルを発表。トラブルの8割を占めていた機器トラブルの予防のためIT環境について詳細を追加した。「通信状況が悪くなり途切れた」「利用者のスマホのバージョンや事業者側のシステムが古く、そもそも対応できなかった」などの情報が上がっていたためだ。
この動きに合わせ、リクルート住まいカンパニー(東京都中央区)は、『SUUMO重要事項説明オンライン』サービスの不動産会社への提案を14日から開始。要望があれば個別にスタートアップを支援する。
今後、重説を書面で交付する(宅建業法35条)、契約書を書面で交付する(宅建業法37条)の2点が法改正され、電子上での契約書のやり取りが可能となると、スマホで重説から契約まで完了することも可能になる。IT重説の社会実験では、6割以上がスマホで重説を受けており、ニーズの高さは明らかだ。不動産フランチャイズのApamanNetWork(アパマンネットワーク‥東京都千代田区)は16年から、加盟店向けにIT重説システムの提供を開始し活用指導を行ってきた。現在は宅建業法の改正を見据えながら、直営店でノウハウを蓄積した後、加盟店に電子契約サービスもリリースしていく予定だ。

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