物件登録開始日迫る

今年4月に国会で成立した「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律の一部を改正する法律」(通称・改正住宅セーフティネット法、以下、改正法)の施行が25日に迫っている。施行に伴い、低額所得者や高齢者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録が開始される。リスクを避けたい家主や管理会社が消極的な一方で、空き家問題に積極的に取り組む団体は追い風と捉えている。
「全国から新しい住宅セーフティネットを活用したい自治体や家主らから問い合わせが入り、毎日うれしい悲鳴を上げている」。こう話すのは、空き家を活用しシェアハウスの普及を目指す一般社団法人日本シェアハウス協会(東京都渋谷区)の山本久雄代表理事だ。


空き家問題が深刻な地域にとって改正法は追い風だ。さらに、住宅確保要配慮者のみを受け入れる「専用住宅」として登録した場合、家賃補助等の対象となる住宅確保要配慮者の範囲が広いことにも商機を見いだしている。
登録には2種類あり、住宅確保要配慮者以外も受け入れ可能とする住宅と、住宅確保要配慮者のみを最低10年間受け入れる「専用住宅」がある。住宅確保用配慮者には高齢者や低額所得者など種類があるが、どの種類の入居者の受け入れを拒まないのかは選ぶことができる。
法律が規定する住宅確保要配慮者とは、月収15万8000円以下の低所得者、発災後3年以内の被災者、高齢者、障がい者、高校生以下の養育者。
国交省の省令では外国人、東日本大震災など大規模災害の被災者で3年以上経過している者のほか、都道府県や市区町村が供給促進計画として定める者が規定される。つまり、地方自治体は、独自に「住宅確保要配慮者」の種類を決めることができる。現在の基本方針の中では、「新婚世帯」も例示しており、地方公共団体が地方創生を狙いとした「住宅確保要配慮者」を選定する可能性もある。
改正法では住宅確保要配慮者向けの(1)賃貸住宅の登録制度、(2)専用住宅の改修や入居者への経済的支援、(3)居住支援が定められている。
(1)の賃貸住宅の登録制度では、家主が住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅として、都道府県や政令市・中核市に登録を行う。家主は写真を含む登録住宅に関する情報を各自治体に提供。各自治体が今後立ち上げる予定の専用のウェブサイトに掲載される。
(2)では、「専用住宅」の登録基準を満たすための耐震化、風呂やトイレなどの設備の設置などに必要な改修費用を、国と地方公共団体が補助するというもの。補助金だけで賄えない場合は、住宅金融支援機構が融資を行う。
また、低額所得者を受け入れ、家賃を減額した場合、月額2万円までの上限付きで補助する。
(3)の居住支援は、都道府県が住宅セーフティネットを支援する居住支援法人を指定し、活動の充実を図り、活動に対しての補助も行う。生活保護受給者の受け入れに対しては、住宅扶助費の代理納付を推進する。また、家賃債務保証会社の登録制度を行うことも該当する。登録された家賃債務保証会社が住宅確保要配慮者に対し審査を行う。審査が通らなかった場合でも、居住支援法人が保証し、入居できるように支援するといった流れだ。
高齢者であれば見守りシステムを導入しなければならないなど、さまざまな手間やコストと引き換えになるため、改正法に対し消極的な姿勢の管理会社は多い。勉強会を行うなどの社員教育は行っているが、具体的な取り組みはそれほど進んでいないとの声もある。
1万1500戸を管理するイチイ(東京都新宿区)荻野政男社長は「住宅確保要配慮者のような人達を社会問題として捉え、手助けできるようなサービスを、改正法をうまく利用し賃貸業界が先導していくべきだ」と話した。
法整備が進む一方で、物件の登録促進に課題は残る。

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