賃貸関連企業によるM&A相次ぐ

賃貸住宅ビジネスをメーンで行う上場企業によるM&Aが相次ぐ。賃貸管理・仲介のAMBITION(以下、アンビション:東京都渋谷区)は投資用マンション開発のヴェリタス・インベストメント(以下、ヴェリタス:同)を完全子会社化した。低金利で資金調達がしやすい環境を背景に、新たな収益の柱を求め、M&Aにより会社の拡大を目指す姿が浮き上がる。
アンビションは3日、ヴェリタスの株式を98.5%取得し、残りの1.5%は株式交換の形で100%子会社化すると発表した。取得金額は約35億円。賃貸管理をメーンとするアンビションの2017年6月期の売上高は145億7800万円。対し、ヴェリタスは売上高84億1000万円と会社の規模としては2分の1の投資用マンションデベロッパーだ。


日本M&Aセンター(東京都千代田区)業界再編部の西田賢史課長は「顧客に対して企業の買収金額の目安は、自社の売上規模の10分の1と伝えている。事業環境が厳しい中、グループ化で売り上げを10%伸ばせるのは大きなメリットであり、また全事業規模の1割であれば、M&A自体が失敗に終わっても本体がぐらつかない。規模から比較するとアンビションにとって大型のM&Aだったといえる」と話す。取得のため、銀行8行から20億円を調達して2分の1の規模の会社を取得したことは、アンビションにとって大きな買い物だ。
アンビションの清水剛社長は「ワンストップで事業を行う不動産SPAを掲げる企業として開発の部分の強化は大命題だった。ヴェリタス・インベストメントは、東京23区内の立地に対するこだわりが徹底している。しかもデザイン性の高さも素晴らしい。グループ内の開発により、賃貸管理の事業拡大も見込める」と前向きだ。
ヴェリタスの川田秀樹社長と清水社長は10年来の付き合いがあり、今回の事業譲渡に関しても経営者同士で協議を進めてきた。
ヴェリタス側からすると、一から上場するより、上場企業のグループ会社になることで、会社の信頼性を高められ、上場のための準備の手間や出費をかけずに済む。
アンビションは15年2月に、横浜の不動産会社バローを5億円弱で取得しM&Aの経験も積んできたことから今回の買収に踏み切れたのではないかと前出の西田課長は推測する。清水社長は「10年後に売り上げ1000億円を目指す」と先を見据える。
レオパレスは法人向けサービス会社傘下に
 2日には、レオパレス21(東京都中野区)がサービスアパートメントや法人向けの代行業務を行うエンプラス(東京都千代田区)の株式を66.7%取得し、グループ化した。レオパレス21の狙いは、アジアに進出する日本企業向けのオフィスや住宅の仲介の拡大だ。エンプラスは年間売り上げ10億円で、法人向けに、出張や転勤に伴う航空券の手配代行、引っ越し会社や滞在先の紹介を行う。レオパレス21は国際事業の売り上げを現在の4億4000万円から、25年には160億円を目標にする。レオパレス21はアジアに16拠点を持ち、M&Aにより法人の海外進出サポートとそれに伴う住宅の提供による成長を見込む。
シノケングループ(東京都港区)は8月に福岡の仲介会社を傘下に入れ、賃貸仲介事業に進出。これまでM&Aしてきた少額短期保険などの周辺ビジネスの売り上げにもつなげ、収益の柱を増やし、グループ全体で売り上げを増やしていく狙いだ。

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