信託事業で次世代オーナーとの関係強化

賃貸管理大手が信託事業を通じて次世代オーナーとの関係構築を狙う。大和リビングマネジメント(以下、大和リビングM:東京都江東区)はグループで信託会社を設立した。積水ハウス(大阪市)も信託会社の設立を発表。家主の高齢化が進む中、賃貸住宅の運用を委託でき、さらに、相続発生後の賃料収入を得る人物を生前に指定できることから「争族問題」予防の布石となるため、今後利用者が増えていきそうだ。
サブリースを行う大和リビングMが100%出資するハートワン信託(東京都江東区)は17日から管理型の不動産信託事業に参入した。
管理型の不動産信託とは、賃貸住宅を運営する権利と賃料収入を得る権利を分け、それぞれの権利者を指定する仕組み。オーナーは賃貸住宅の所有権を信託会社に移転。信託会社はオーナーに代わって、任された不動産の管理・運営を行う。受益者の登記により賃料収入を得る受益権をオーナー以外にも設定できる。


大和リビングでは、事業承継に関わる機能を持つことが重要と考えハートワン信託の設立に至った。オーナーの世代交代で管理物件の相続が発生する中、相続トラブルにならないための解決策として信託事業を昨年から計画していた。対象になるのはグループで施工、管理を行う賃貸住宅。3大都市圏か地方中核都市に所在し、築20年以内であることが条件。オーナー会や相続対策セミナーで告知をしていく。
積水ハウスは3月に積水ハウス信託(東京都渋谷区)を立ち上げ、グループで賃貸住宅を建築した家主を対象に信託サービスを開始した。
ハウスメーカー大手2社に先行し、子会社に信託会社を設立したのは大東建託(東京都港区)だ。2014年に営業を開始した大東みらい信託(同)は、不動産管理信託への家主の関心の高さを実感している。信託を活用した資産継承についてのセミナーを開催し、年間約3000人の集客のうち1000人が個別面談まで行く。大東みらい信託の小野博道社長は「大東建託のオーナーは平均70歳ほどで、賃貸経営を次の世代へ引き継ぐことを考えている。実際、大東建託で建築してからすぐに当社の不動産信託を決めた事例もある」と話す。
認知症を心配しての活用は意外に少なく、賃料収入を誰に渡すかを生前のうちに決めておきたいオーナーが中心だという。グループで建設、管理を行う賃貸住宅が対象だが、他社の管理物件を保有している場合は、グループでの一括管理に切り替えてもらう。
一般的に、不動産管理信託の受託料の相場は、賃料の2~3%程度。
「民事信託では、家族が管理を行う受託者になった場合に自分の財産と混同してトラブルのもとになることもある。信託会社への委託なら分別管理が徹底されるメリットがある」(小野社長)
09年から事業を開始したスターツ信託(東京都中央区)は、裁量範囲の広い運用型の免許を取得しているため多様な提案を行えるのが特徴。資金調達を行う案件や、共有名義の不動産活用に悩む顧客にも対応できる。他社建築の案件も対象で、グループ内での新規管理受託や、仲介事業、相続関連ビジネスにつなげる狙いだ。
各社に共通するのは、相続前からオーナーの後継者と関係構築するため信託事業を活用する考えだ。一方、普及の課題は、仕組みが難解さに加え、受託者を信託会社とすることに抵抗感がある点をどう解決していくかだ。

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