入居者と宿泊客、地域住民の集う場企画

リノベーション会社インテリックス(東京都渋谷区)は10月25日、賃貸マンションをリノベーションし、レジデンスとホテルが混在する『montan HAKATA(モンタンはかた)』を開業した。大和ハウス工業(以下、大和ハウス:大阪市)も、新築時からホテルの許可を取得し賃貸住宅、ホテル双方の活用ができるアパートメントホテル(以下、アパートホテル)を開発していく。
インテリックスがオープンした『montan HAKATA』のコンセプト「暮らすように泊まり、友のように語る」を象徴するのは1階のラウンジだ。賃貸住宅の入居者、ホテルの宿泊者、そして近隣住民という多様な人々が交流し、過ごすことを想定して設計した。
外に面したガラス張りの開口部を開くと、フローリング部分は昔ながらの日本家屋の縁側のようになり、近くの住民はベンチ代わりに座って休憩できる。ラウンジ内にデスク兼キッチン台にもなるテーブルを置き、外国人宿泊客は地元住民に交じり住人が主催する郷土料理の教室に参加し地域の生活に触れられる。共用部の利用料は無料。
3年前に取得した築30年9階建ての賃貸マンションを1棟丸ごと改修。住戸部分94戸のうち48戸はホテルに用途変更した。
ホテルの収容人数は176人で、2段ベッドのドミトリーから、高級ホテル顔負けのプレミアム和室まで、9タイプの客室を設計した。宿泊料金は1人当たり3000~4000円程度。
同事業の後押しとなったのが、2016年4月に国が行った旅館業法の改正と、それに続き同年12月に施行された福岡市の旅館業法施行条例改正だ。福岡市でのイベント開催や訪日外国人の急増で宿泊施設が不足する中、受け皿を増やすため1室単位で宿泊施設の申請を行えるように変更した。他の改正では、1カ所にフロントを設置すれば管理事務所の拠点として扱われ、許可を受けた物件から2500m圏内の宿泊施設にはフロントを設けなくてもよい。
事業責任者の俊成誠司執行役員は「地元で空室を宿泊所として活用したいオーナーがいれば、当物件でフロントの業務を受け持つ」と話す。同物件を起点に、次なるビジネスの展開を見据える。
さらに、来年をめどに同社の提供する不動産小口化商品の『アセットシェアリング』に組み込み、一口100万円単位で富裕層を中心に販売していく予定だ。分配金利回りは4%とこれまでの案件よりも高い利回りで提供する。
 山本卓也社長は「リノベーションを本業に事業を始めて17年がたった。リノベーションの在り方が進化している。一つの建物から離れ、街をリノベーションしシェアすることが地方の活性化につながる」と話す。


大和はアパートホテル開発
大和ハウスはアパートホテルの開発に着手した。ホテルの許可取得を前提にした賃貸住宅を手掛けていく。間取りは2LDKで4~6人の利用を想定し、宿泊料金は1室3万円ほど。まずは自社で開発・保有し、その後地主にも提案する。
堀福次郎専務は「建築のみでも、運営まで全部当社グループで行うケースにも対応する。固定賃料に加えて、一定額以上の収益が上がった場合には、利益を当社とオーナーで分配するという方式も検討する」と話す。一般の賃貸住宅以上の収益を生むことも可能だが、初期投資や光熱費、アメニティー交換等の支出が多くなるデメリットもあり、収支の読みにくさが普及の課題となりそうだ。すでに5棟の計画が進んでおり、初年度で250戸の開発を見込む。20年までに自社、個人オーナー、ファンドの保有分を合わせ、3000戸を整備していく。
同社では、今年度に賃貸住宅の建設と管理で1兆円超えを目標にする。戸建て賃貸、アパート、賃貸マンション、サービスアパートメントに加え、アパートホテルをラインアップに加え提案力を強化する。堀専務は「賃貸住宅をベースにしながら、消費者が求める商品を広げ事業を拡大していく」と話した。
借り方、貸し方の多様化がまさに今進行している。不動産会社は、既成概念にとらわれず賃貸住宅の自由な活用の可能性に目を向けるべきだろう。

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