民泊新法 来年6月に施行

観光庁はこのほど、「住宅宿泊事業法の施行期日を定める政令」と「住宅宿泊事業法施行令」の閣議決定を受け、2018年6月15日に180日制限の住宅宿泊事業法(民泊新法)を施行することにした。制限外の残りの期間をどうするかが賃貸業界の課題だが、すでにマンスリーマンション事業を進めている企業や、空きスペースの時間単位貸しを行っている企業は民泊新法施行にビジネスチャンスを見いだしている。
閣議決定から3日後の10月27日、「住宅宿泊事業法施行規則」が公布された。住宅宿泊事業法施行規則では、事業者に対し、毎年4月1日から翌年の4月1日正午までの間に人を宿泊させた日数を算定すること、2カ月ごとに宿泊させた日数を報告することが義務付けられている。事前の届け出に関しては、登記事項証明書、住宅の図面のほかに、賃貸住宅の場合は転貸の承諾書などを添付しなければいけない。


宿泊名簿に関しては、3年間の保存と、宿泊者が訪日外国人の場合は国籍と旅券番号も記載しなければならいといった内容が盛り込まれている。
厚生労働省令では 居室の床面積は宿泊者1人当たり3.3㎡以上を確保することと、定期的な清掃および換気を行うことを定めた。
国土交通省令では非常用照明器具を設けることと避難経路を表示することで宿泊者の安全確保を図ることを定めた。また仲介事業者に関しては、契約前に住宅宿泊事業者の届出番号、宿泊者が住宅宿泊仲介業者に支払うべき対価を利用者に説明しなければならないとしている。
民泊を空室対策に利用したい賃貸業界にとって最大の障害は年間180日以下の制限があることだが、それでもビジネスチャンスとして見いだしている企業はある。
「これまで出張などのビジネス需要を取り込むためにマンスリーマンション事業を展開してきているが、新法が施行されたら観光需要も取り込んでいきたい」。こう話すのは、約2000戸を管理するアセットプランニング(北海道札幌市)の及川学社長だ。同社は出張のビジネスマン向けに120戸のマンスリーマンションを管理しているが、1カ月未満の空室期間は稼働ができないといった課題があった。
夏の北海道は観光需要が高いため、日本人観光客の取り込みを期待している。楽天LIFULL STAY(東京都千代田区)が民泊サイト『Vacation Stay(バケーションステイ)』(仮称)の開設を新法施行後に予定しているため、マンスリーマンションの物件登録をすでに済ませている。さらに、自社サイトに誘導し、予約・見積もり・清算がワンストップでできるようにするための構想も練っているという。「現在、当社のマンスリーマンションの稼働率は65%だが、新法施行後には75%にまで上げていきたい」と及川社長は話す。
マンスリーと民泊運営の両方を行うことを『ハイブリッド・マンスリー』と呼び、コンサルティングを行っているビバシティ(東京都港区)の板垣和宏社長の元には、すでにマンスリー運営を行っている企業から半年で約50件のセミナー講師依頼が来ている。マンスリー運営企業にとって民泊新法の施行は稼働率を上昇させる最適のビジネスチャンスと捉えられているようだ。
一方で、空室を会議室や写真撮影場所、パーティー会場として貸し出すシェアリングサービス関連の企業にとっても民泊新法の施行はビジネスチャンスだと考えられている。
 宿泊可能な施設と宿泊希望者を仲介するサイト『スペースマーケットSTAY』の運営を9月から開始したスペースマーケット(東京都新宿区)では、宿泊が可能なほか空きスペースを時間単位で貸すこともできる施設を現在約200件紹介している。いずれも簡易宿所などの許可を取得している物件だ。
民泊新法が施行された場合、さらに登録件数が増えることを見込んでいるが、同社の場合は民泊新法の施行によりシェアリングサービスのプレイヤーが増加することを期待している。同社の貝塚健企画ディレクション部長は「新法での民泊運営者の中には、残りの日数を時間貸しすることで収益を得る方法を取る人が増えると思う。民泊では1泊平均で1万3000円の売り上げであるのに対し、時間単位で貸すと、1回5時間程度で平均1万8000円の売り上げを見込むことができる。
民泊と時間貸しの両方を行い比較して、時間貸しに変更するプレイヤーも増加するのではないか」と話した。
賃貸業界にさらなる新しい貸し方が登場していきそうだが、定着はしていくのか。施行後の動向に注目が集まる。

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