不動産小口化商品取り扱いの要件緩和

国土交通省は1日、8月14日に公布した『不動産特定共同事業法(以下、不特法)の一部を改正する法律の施行に伴う関係政令の整備に関する政令』を施行。政令の中に「小規模不動産特定共同事業」に関する内容を新設した。これまで資本金1億円以上の不動産会社でなければ事業者の登録ができなかったが、1000万円以上であれば可能になる。中小の不動産会社も不動産小口化商品の取り扱い事業者として参入できるようになり、ビジネスチャンスが広がる。
不動産特定共同事業とは、出資を募って不動産を小口化した上で売買・賃貸し、その収益を分配するもの。不動産特定共同事業に対し許可制度を設けることで、適正な運営や投資家の利益の保護を図るのが不特法だ。
出資者が所有権を持つことができる「任意組合型」や、出資者は配当を受ける権利を持つが、所有権は事業者が持つ「匿名組合型」などがある。
不動産小口化商品を販売している不動産会社には、大和ハウスグループで不動産販売・賃貸事業を手掛けるコスモスイニシア(東京都港区)や穴吹興産(香川県高松市)、中古マンションの再販事業を行うインテリックス(東京都渋谷区)などが挙げられる。


これまで、不動産特定共同事業を行うには、宅建業の免許や事務所ごとの業務管理者配置などのほか、自ら不動産特定共同事業の許可を得るために資本金1億円以上が必要だった。
だが、今回「小規模不動産特定共同事業」が新設され、資本金の要件が最低1000万円に引き下げられ、許可制から登録制に緩和されたたため、不動産小口化商品で出資者を募ることのできる不動産会社が増えることになる。
新設した「小規模不動産特定共同事業」の場合、事業者が事業への参加者から受けられる出資額の上限を新たに規定し、万円とする。ただし、金融商品取引法の登録をしている機関投資家などの特例投資家については、自ら投資に関するリスクの判断ができるため、上限は1億円となる。さらに、事業参加者から受けられる出資総額の上限も設け、1億円にする。
改正の背景にあるのは、地方の空き家や空き店舗などの再生・活用事業を推進したいという狙いだ。使われずに放置されている空きスペースをテナントやイベント会場、民泊などで活用することで不動産ストックを再生し、地方創生につなげる取り組みは拡大している。だが、不動産特定共同事業を開始するには、中小規模の多い地方の事業者にとって参入障壁が高いと言われていた。
政府は今回の改正により、2022年までに地方の不動産会社の参入800社を目指す。また、空き家や空き店舗などの再生による投資に関しては22年までに500億円の達成を目標にしている。
福岡でビル再生の企画やコンサルティングを行うスペースRデザイン(福岡市)は、同事業の活用に対し積極的だ。「小規模不動産特定共同事業を活用した遊休不動産等の再生事業の具体的検討に向けた専門家派遣等の支援事業」にも応募し、9月に支援先として選ばれた。地方都市で増加する遊休不動産を再生していく際、銀行からの融資を受ける以外の資金調達の手段となるのではと考えたため、検討していくという。
京都の空き家や空き店舗を再生する事業に注力するフラットエージェンシー(京都市)の吉田光一会長は今回の改正をビジネスチャンスと捉え、現在勉強会など積極的に参加しているという。「当社の目的はまちづくりであり、空き家対策の一環として取り組む。投資家にとっては、売却損などリスクはあるので注意深く事業化しなければ」(吉田光一会長)
不動産小口化商品を取り扱う不動産会社は要件緩和を機に全国で拡大していくのか、今後の動向に注目だ。

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