IoTで住宅の価値向上を模索

スマートフォンで家電等を操作できるIoT(モノのインターネット化)技術が生活に導入されつつある。いわゆる「IoT住宅」の賃貸市場における付加価値を実証するプロジェクトが始動した。1月30日、スマートロックを開発するライナフ(東京都千代田区)が、住人が不在でも宅配や家事代行の事業者が部屋に入って、サービスを提供できる賃貸住宅のプロジェクト概要を公表した。
プロジェクト名は『サービスが入ってくる家』。遠隔操作が可能なスマートロックと、スマートフォンアプリで映像が確認できるクラウドカメラを活用し、住人の不在時にも部屋の中まで荷物を運んでもらったり、家事代行サービスを受けたりすることができる住宅を提供する。クラウドカメラを開発するセーフィー(東京都品川区)や宅配・家事代行サービス会社が連携し取り組むプロジェクトだ。
東京都大田区の賃貸マンション『ジニア大森西』で実証実験を行う。2月中に完成する物件で7階建ての全32戸。間取りは1LDKで、同プロジェクトに欠かせない構造的な特徴が3つある。
1つ目はエントランスに遠隔解錠機能を持つ「Ninja Entrance(ニンジャエントランス)」を導入。2つ目は玄関に2重の扉を設け、外側の扉の施錠にスマートロック『Ninja Lock(ニンジャロック)』を設置。3つ目は、内側の扉部分にクラウドカメラを取り付けた。これらの機能により入居者の不在時にでもエントランスや玄関に入ることができ、クラウドカメラでその様子を確認することができる。専用のコールセンターが、電話による各事業者のサービススタッフの本人確認と、インターネットを経由した鍵の開閉操作を遠隔で行う。コールセンターはライナフ。住宅の管理は東急住宅リースで、すでに入居募集を始めている。約47㎡で家賃は13万8000~14万7000円で別途共益費は6000円。多少高めの家賃設定をしているようだ。宅配サービスなどの利用料は入居者が負担する。
「ITを駆使したこのサービスが住宅の価値をどこまで高めるのか実証したい」とライナフの滝沢潔社長は語る。『サービスが入ってくる家』の仕組みは、新築でなくとも既存物件に取り付けることも可能だという。ただその費用を回収できる分のメリットがなければならない。周囲の物件との差別化にはなるだろうが、相場以上の家賃で入居が決まるのか。
福岡市内を中心に賃貸住宅の設計・施工を行う上村建設(福岡市)では、IoT機器を使用できる賃貸住宅で差別化を図っている。IoT機器を賃貸住宅で使用するには、質の高いインターネット環境が必要になる。同社では2017年4月以降、通信速度最大1Gbpsの光インターネット一括サービス『ハッピーBBシステム』を新築物件に標準搭載している。一般的な賃貸住宅向けのインターネット環境のLAN分配方式と異なり、集合住宅の各住居まで光ファイバー配線方式を採用している。通信速度が速く、各戸にグローバルIPが付与されるため、ネットワークカメラなどのIoT機器を使用することができる。4月末まで『ハッピーBBシステム』搭載マンションは65棟1200戸が竣工予定だ。IoTのモデルルームを充実させ、その便利さを体感できるようにしている。


大手通信会社のKDDI(東京都千代田区)も不動産会社などと提携し、住宅向けのIoTサービスの販売に注力していくことを発表した。
IoTによって賃貸住宅の価値はどこまで向上できるだろうか。

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