問われるスルガの融資責任

サブリース家賃の不払いが続くスマートデイズ(以下、SD社:東京都中央区)のオーナーによる、スルガ銀行(静岡県沼津市)への責任追及が激しさを増す。15日には、弁護士とオーナーが本店に出向き、不正融資を根拠に借り入れを実質的に白紙に戻すよう求めた。同行の与信資料改ざんへの関与や過剰融資を争点に集団訴訟の準備を進める動きも出てきている。
15日、静岡県沼津市のスルガ銀行本店に「スルガ銀行スマートデイズ被害弁護団」の弁護士7人、被害オーナー35人が足を踏み入れた。
同弁護団は、SD社のオーナー72人の委託で、スルガ銀行を相手取った訴訟も視野に入れ情報収集や交渉を進めている。今回は、銀行側の不正行為を指摘し、不動産の所有権を銀行に譲渡する代わりにオーナーの債務を帳消しにすることを要求する申し入れを行ったが、結果は「ゼロ回答」だった。
1時間ほどの交渉後、弁護団の河合弘之団長は「問題の全体像を明らかにするため、融資した人数や総額について聞いたが、個別の問題なので答えられないの一点張り。極めて無責任で、状況の深刻さを理解していない」と語った。スルガ銀行側からは、弁護士1人を含めた4人が参加したという。
「ひとつ、はっきりわかったのは、融資を受けるときの(与信)資料のうち、ネットバンキングでは画面の印刷資料だけで審査しており、本人にその場でサイトからログインさせて確認していない案件が一部あることを認めたこと。原本確認の原則を怠っていることは明らかだ」(河合弁護団長)
同弁護団は、次の4点について責任を追及する。(1)SD社の建物についてスルガ銀行が融資する安心できる物件と宣伝していたこと(2)借り入れ申し込み手続きを代行する時点で通帳コピーなどの偽造や過剰・不正な融資が行われていたこと(3)シェアハウス購入に必要なローンのほか1000万円前後のフリーローンを抱き合わせで融資を行ない(4)そのフリーローンで得た資金を定期預金に積み立てさせており「歩積み両建ての禁止」に抵触することを問題視し、さらにスルガ銀行への責任を問い、交渉を行っていく。
参加したオーナーからは「事前に申し入れの内容を渡していたのに、答えられないという回答ばかり。以前から私の与信資料の情報を出してほしいといっているのに連絡はない。今日のスルガ銀行の態度には怒りを覚えた」とコメントした。
販売会社から証言
「スルガ銀行が与信資料の改ざんに指示を出していたとする証言が複数の販売会社から上がっている」。わたなべ法律会計事務所(東京都千代田区)の加藤博太郎弁護士は20日頃、SD社のオーナー15人程度による訴訟を起こす。「銀行も含めた詐欺的なスキームの存在は明らか。スルガ銀行への訴訟も視野に入れている」(加藤弁護士)。
SD社は販売会社が70社あるともいわれており、その販売会社がスルガ銀行での融資を通すために、情報を改ざんし通帳残高や資産額の水増しを行っていた実態があった。
本紙がSD社のオーナーから独自入手した音源では、スルガ銀行の担当者が与信資料の改ざんに同意の上、融資を行っていたとする販売会社社長のコメントがあった。
国に実態調査求める
金融庁への要望提出や、スルガ銀行横浜東口支店に申し入れを行ってきた会員50人のスマートデイズ被害者の会は、組織を再編、16日に名称を「シェアハウス投資被害対策センター」とした。センター内にサブリース会社ごとの被害者の会を設立する。


SD社1社だけでなく、スルガ銀行の融資を前提にした同様のビジネスモデルでオーナーにシェアハウスを販売してきた会社のケースにまで範囲を広げ被害を浮き彫りにしていく。
被害オーナーとの協力、世論の喚起が必要だと考え、8日には衆議院議員5人と金融庁の地方銀行担当者、オーナーとの意見交換会を行った。財務金融委員を務める議員にスルガ銀行への実態調査を求める要望書を提出した。
SD社以外にも「スルガスキーム」の元、サブリース会社が家賃の不払いや、建築途中で音信不通になるケースが表面化しており、訴訟問題に発展していきそうだ。

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