ネット小口不動産投資の課題露呈

インターネット上で少額から不動産に投資する不動産クラウドファンディング(不動産CF)の課題が露呈している。問題化しているのはソーシャルレンディングともいわれる貸付型だ。
貸付型の不動産CFでは不動産の案件ごとにネット上で、投資家から出資を募り、集まった資金を、6~10%の利息で不動産事業者に貸し付けるため、貸金業の免許が必要になる。貸付先からの利息を投資家に分配し、貸付期間終了後に出資金を投資家に償還する仕組み。
今月に入ってから、利息の支払いが停止し、投資家に分配金が支払えない事態が起こった。投資家登録数2万人を超えるSBIソーシャルレンディング(東京都港区)は9日、ファンド6案件について、17日に予定している分配が一部不可能になったことを明らかにした。
同社の融資残高は200億円を超え、そのうち全体の28.8%を占めるのが不動産バイヤーズローンファンドである。不動産の売買等を行う事業者向け融資で、転売用不動産に抵当権を設定。担保余力の8割未満を融資金額とする。現在33億8850万円の運用を行っているうちの約4割に当たる13億3550万円の貸付分で利息の延滞が発生した。
同社は「今回の利息の支払いがなされなかったことに伴い、弊社は現在、貸付債権の一括回収をはかるべく、担保不動産の競売手続き等を進めることを検討している。担保不動産はすべて東京都内に所在しており、弊社が第一順位の抵当権を設定している。どの程度回収ができるかは担保不動産の価値等によることになるが回収に向けて鋭意努める」と発表した。場合によっては元本割れも起こりうる状況だ。


「誰に出資したのか」分かりにくい事業構造
6日には証券取引等監視員会(以下、証券取引委)が、maneo(マネオ)マーケット(以下、マネ:東京都千代田区)に対して検査を行い、募集内容が虚偽表示だった点と、資金の使途把握が行われていなかった管理上の問題を指摘。金融庁に対して行政処分を行うよう勧告した。
マネオも主に不動産案件への貸し付けをメーンに行っている。
分かりにくいのは、今回同社がネット上で応募したグリーンインフラレンディング(以下、GI:東京都港区)という会社自身が、貸付型のクラウドファンディングを行う会社であることだ。マネオはプラットフォーム上で、不動産CF事業者であるGIL社の案件を募集していた。実際に投資家から資金を集めたのはGIL社であり、マネオはポータルサイトのような立ち位置にあったといえる。問題だったのは、貸付先の会社A社がGILの親会社にあたったこと。関係会社を経由してGILからA社に資金を貸し付けていたが、A社の口座は投資家から集めた資金と同社の事業資金を分別することなく、一つの口座で管理。3084人の投資家から集めた103億円の一部が別の用途に使われていた。
また、募集案件について、ファンド資金の用途をA社の関係会社に任せ、資金管理の実態を把握できる管理体制を構築していなかったことは、直接の貸付会社でなくてもマネオに責任があることを強調した。
ここに貸付型の不動産CFの問題点の一つが見えてくる。一般的な貸付型の場合、ネット上で出資の募集業務を行う会社と貸金業を行う会社は別会社だがグループであるため、投資家はマイページで貸し付けの運用実績を見ることができ、ほぼ同一会社の認識になる。
だが、マネオの場合、募集を行っていたマネオと、投資家から集めた資金を使って貸し付けを行っていたGILは関係がなく、投資家は募集を行ったマネオが運用実績などを把握していると考えていたのが、そういった実情はなかったということだ。
ネット上で運用を行うため、どの会社がどの部分について情報を把握し責任を持っているのかが投資家に見えにくくなっている。
他の資産運用と同じく不動産CFにおいてもどの案件を選ぶかを投資家自身が判断することが重要だ。ただ、貸付型の場合、貸金業法上、融資先の社名や不動産案件の固有名詞等を明らかにすることが認められず、限られた情報の中から選ぶ難しさもある。
ただ、低金利下で安定した資産運用の手法として不動産CFのニーズは高まっており、投資家が判断する際の情報公開を広げていくことも重要になってくるだろう。

関連記事