賃貸住宅建築需要に陰り

賃貸建築大手企業の第1四半期決算が出そろった。空室リスクの増大や融資引き締めによって賃貸住宅の建築受注が鈍化している。非住居分野の建築を伸ばそうとする動きが見えるなか、大東建託は営業増員によって新規顧客の開拓を進める。
国土交通省によると、貸家の着工戸数は、6月時点で前年同月比13カ月連続で減少している。こうした経営環境を大東建託(東京都港区)は「賃貸住宅市場は一時的な好況から、適正化に向けた市場環境に移行している」と捉え、利便性の高い賃貸住宅需要は引き続き底堅く推移すると考えている。今期は157人の営業増員、関東エリアを中心に6拠点の支店を開設し、前年対比で4.9%増の6830億円の受注を目指す。
2019年3月期第1四半期決算では、売上高が前年同期比0.8%増の3801億700万円、営業利益が同6.1%減の348億2400万円、経常利益が同5.6%減の363億1500万円だった。セグメント別では、一括借り上げを行う大東建託パートナーズの家賃収入増加によって不動産事業は売上高が同6.6%増の2295億9000万円、営業利益が同16.3%増の134億6200万円と伸長した。半面、建設事業はサブリース会社のネガティブな報道を受け新規顧客の開拓が進まず伸び悩んだ。受注工事高の約95%を占める賃貸住宅は、同6.4%減の1223億2500万円。ただ受注単価は前期に引き続き上昇した。利益面では、オリンピック関連工事や労働需給がひっ迫し労務費が高騰、利益を圧迫した。同社では賃貸住宅以外に戸建住宅や事業用不動産も建設しているが、全体のわずか5%にも満たない。賃貸住宅の商品力の強化として、高断熱、省エネに優れZEH基準を満たす住宅、セキュリティ面に配慮した防犯優良賃貸住宅などを推進する。
一方で、ホテルや保育園、医療施設などの非住宅系分野の建築提案を強化しているのは積水ハウス(大阪市)だ。2019年1月期第1四半期決算は、売上高が前年同期比4.4%増の4599億4700万円、営業利益が7.2%減の311億3000万円、経常利益が8.8%減の321億4300万円だった。賃貸住宅事業では、売上高が同2.3%減の982億8400万円、営業利益は同14.8%減の104億500万円だった。金融機関の融資姿勢の変化に伴い賃貸住宅の受注減少の影響を受けての減収減益だが、高付加価値商品の販売注力により、1棟当たり受注単価は上昇を続けている。4月に営業の専門性強化や非住宅分野の取り込みに向けた組織再編を行い、販売体制を強化。5月にスタートしたZEH補助金で受注拡大を目指すという。賃貸住宅事業の通期目標は前期比2.3%増の4530億円。


増収増益で、賃貸住宅・商業施設・事業施設の3事業を成長ドライバーと位置づけている大和ハウス工業(大阪市)でも、賃貸住宅の建築目標を下方修正している。同社は2019年3月期第1四半期の売上高は前年同期比10.4%増の9023億9600万円、営業利益は同3.4%増の753億3200万円、経常利益が同3.7%増の770億5900万円だった。賃貸住宅事業の受注高は9562戸で1276億円だった。前年同期と比べると638戸減少したが、金額では1.5%増加。1棟当たりの受注金額が増額している。通期では3万8890戸の5350億円で、39210戸を受注した前期に比べると戸数は減少するが、金額では3.9%増を見込む。併用賃貸住宅や中層階賃貸住宅、社員寮など商品バリエーションを広げていく。
ただ16~18年度の投資計画では、賃貸住宅は当初1000億円を見込んでいたが、17年度末時点の進捗率は34.7%と低く、投資額500億円に下方修正した。当初目標に対する進捗率が7割を超える商業施設と、事業施設は計画を上方修正した。商業施設は1400億円から1500億円に、事業用施設は3600億円から4000億円に修正した。「賃貸住宅事業も注力するが、全体のバランスを見て調整した」と担当者は語った。

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