TATERU急成長の裏に不正

東証一部上場企業で収益不動産販売のTATERU(タテル‥東京都渋谷区)に不正が発覚した。同社はアパート購入を希望したオーナーの預金通帳残高を改ざんし融資を受けられるように仕組んだことを認めた。4日に特別調査委員会を立ち上げ、同様の不正行為がないか調べ始めた。創業9年で株式上場を果たした急成長企業がなぜ不正に手を染めたのか探った。
TATERUのアパート販売は土地を所有していない顧客がメーンターゲットだ。土地情報の提供、アパートの企画、施工の相談などが、オンライン上でできる「ITと不動産投資を融合」させた事業とうたう。インターネットによるアパート購入希望者の集客と、開発用地を仕入れない手法で成長してきた。仕入れるのは土地情報のみ。その土地にアパートを企画し、購入希望者に提案するビジネスモデルを構築。開発用地を仕入れないことで、土地の在庫を抱えるリスクを回避していた。このビジネスモデルは同社の古木大咲社長がリーマン・ショックによって、仕入れていた開発用地の融資がとん挫し、売ることもできず、倒産の危機に直面した経験をもとに見出された。
しかし同社はここ数年、開発用地を積極的に仕入れて顧客に販売していたことが、複数の家主や不動産会社への取材で明らかになった。2012年11月、13年12月に福岡市内でアパートを建てたAオーナー、18年に首都圏でアパートを2棟建てたBオーナーはいずれも土地を同社から購入していた。「6年ほど前からTATERUに開発用地を売っていた。ここ2、3年はその数が急増した」。千葉県内の不動産会社は語る。首都圏のアパート販売会社も、「16年頃には、TATERUと土地の仕入れで競合していた」と語る。「不動産投資が活況な市場では、好条件な土地ほどすぐに売れてしまうためだ。TATERUも自社で仕入れなければ開発用地を顧客に紹介できなかったのだろう」(某不動産売買会社役員)。


仕入れた開発用地は、早期に販売しなければいけない。さらなる顧客開拓のため16年に始めたのがアパートの小口販売だ。最近は「1口1万円からの不動産投資」として販売。アパート販売の顧客開拓ツールという位置づけだった。おそらくネット集客では、資産をもたない見込み客ばかりだったのではないか。17年頃からアパートローン融資の審査が厳しくなった。それでも土地付きアパートの販売を続けるために信用情報の改ざんに至ったと推測される。
本紙が取材したTATERUのオーナーには信用情報を「改ざんされた」、もしくは「改ざんを提案された」と答える人がいた。組織的な行為かは定かではないが、売り上げを伸ばすための不正であることは想像に難くない。
発覚したTATERUの不正行為
今年5月、同社社員が西京銀行に顧客の預金通帳の残高を改ざんして提出。実際の残高約23万円を623万円に改ざんし1億の融資がおりた。不審思った顧客が調べ、不正が発覚。すでに支払っていた手付金50万円の倍額100万をTATERUが顧客に支払い解約した。

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