入管法改正で外国人向け住宅整備急務

外国人入居者が特別な存在でなくなる時代が迫っている。出入国管理及び難民認定法(以下、入管法)の改正が8日、衆参両議院で可決された。
外国人労働者の在留資格を設け、その資格者を5年間で最大34万5150人受け入れる。
住居に関しては、受け入れ先企業が民間の賃貸住宅を借り上げるとみられる。
家主や管理会社は、日本の労働力として数を増やしていく外国人への抵抗感を払しょくし、受け入れ態勢を構築することが求められる。
法改正では、これまで最大5年間としていた技能実習生に加え、新たな在留資格である「特定技能1号・2号」を創設する。
条件は、1号が受け入れ分野で即戦力として活動するために必要な知識または経験を有すること。2号は1号として従事後、試験に合格した者などだ。
改正法の施行は2019年4月の予定。14業種が対象。これまで技能実習制度で受け入れていた、農業や漁業、建設などに加え、新たに介護、宿泊、外食などの企業も対象になる。
外国人労働者の住居は、民間の賃貸住宅を借り上げ社宅として活用することになるとみられる。これまでの外国人技能実習生の場合、住居の確保は受け入れ先の企業が行ってきた。
社宅か民間の賃貸住宅を法人が契約し外国人が入居するケースが多く、特定技能資格者に関しても同様になりそうだ。賃貸住宅業界側の受け入れ態勢整備が迫られている。
外国人専門の家賃債務保証事業や賃貸仲介を行うグローバルトラストネットワークス(東京都豊島区)の後藤裕幸社長は「入管法改正は、増えてきた外国人労働者市場の拡大に拍車をかけることになる」と話した。17年10月末時点の外国人労働数は127万8670人と前年よりも約20万人増加した。
今年も同等のペースで増えており、この数に加え、特定技能資格者の増加分が単純計算で1年あたり7万人増えていくと考えると毎年30万人近くの増加となる。同時にそれだけの賃貸住宅の需要が出てくる。
ただ、外国人に対して抵抗感を抱く家主や管理会社は少なくない。法務省が16年に行った調査によると、「日本で過去5年の間に、住む家を探したことがありますか?」との質問に対して「ある」と回答した2044人のうち、「外国人であることを理由に入居を断られた」との回答は39.3%だった。


後藤社長は「そもそも、外国人技能実習生の認識を変えていく必要がある。
自殺や行方不明になったなどの報道がありリスクが大きいように捉えられがちだがそうではない。契約は受け入れ企業との法人契約になり、決まった期間の雇用が確保されている。
ある意味、日本人よりも優良顧客ととらえることができる」と話した。
入居後のリスクを下げていくことも重要だ。イチイ(東京都新宿区)では管理する1万2200戸のうち約2000戸に外国人が入居する。同社の荻野政男社長は「家主や不動産会社向けには国が外国人入居円滑化のガイドラインを策定している。
公益財団法人日本賃貸住宅管理協会では、10年前から部屋探しに来た外国人に対応できるようガイドブックやDVDも作製している。
そういった既存のツールを活用していくことでトラブルは防げる」と力説した。
技能実習生は農業や漁業、工場など地方部が中心だったが、宿泊や飲食などの業種での採用が進むと、都市部での外国人の入居ニーズが出てくるのではと荻野社長は踏む。
「技能実習生の入居する社宅を管理してほしいとの要望がいくつもあったが、郊外が多く断ってきた。今後、管理エリア内の依頼があれば受託していきたい」(荻野社長)
慎重な姿勢をみせる会社もある。日本財託(東京都新宿区)は首都圏を中心に2万戸管理し、そのうち13%にあたる2682人が外国人入居者となる。
中国や韓国などの留学生が中心だ。同社の賃貸事業本部の田中芳之本部長は「管理物件の外国人入居者は、母国での所得水準が高い家庭が多く、マナーもよい。生活の実態を把握できていない外国人労働者の受け入れリスクを考えると、まずは様子見」と話した。

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