賃貸業界のM&A最新動向

賃貸業界において、地方や中小の管理会社が大手にM&Aされる動きがここ数年、増えてきている。
不動産業界全体の再編の動きや、M&Aに力を入れ事業を拡大する不動産会社の事例を紹介する。
不動産業界のM&Aは、波がありつつも数を増やしている。
M&A仲介のストライク(東京都千代田区)のデータによると、2018年までの直近3年間で譲渡側か譲受側が東京証券取引所に上場する企業のM&A件数は、16年に28件、17年に30件、18年に22件だった(上グラフ参照)。
18年は少し件数が減ったものの、日本銀行が16年2月にマイナス金利政策を導入以降、低金利で資金調達がしやすいこともあり件数は増えてきているといえる。
個別の案件に目を向けていくと、デベロッパーや建設会社による不動産会社の取得の傾向がうかがえる。


18年4月には、髙松コンストラクショングループの髙松建設(大阪市)が都内で不動産業を行うミブコーポレーション(東京都渋谷区)を取得した。
ミブコーポレーションの持つ不動産情報を生かし建築工事受注を増やすのが狙いだという。
18年7月には三菱地所(東京都千代田区)が関西で売買仲介・管理を行うアーバンライフの株式公開買い付けを実施し、グループ化した。
三菱地所は関西圏での地盤強化と、新規供給マンションへの買い替えによる売買仲介と賃貸管理の営業機会が増えると想定し傘下入りを進めたとしている。
賃貸管理に関しては、APAMAN(アパマン:東京都千代田区)が地方の管理会社のM&Aを進めており、18年5月には福岡のプレストサービスの全株式を取得。グループで約1万2000戸の管理を増やした。
IT企業取得に意欲シナジー効果で判断
賃貸管理・仲介を行うAMBITION(アンビション:東京都渋谷区)はM&Aとともに成長してきた企業といっても過言ではない。
18年12月にはシステム開発を行うPC‐DOCTORS(ピーシードクターズ‥東京都新宿区)を子会社化したばかりだ。
07年に設立した同社の拡大に大きかったのが、同社の清水剛社長が独立前に勤めていたジョイント・ルームピアのM&Aだった。
仲介店舗5店舗を加え、都心のターミナル駅周辺を中心としたリーシングの強みを生かし、管理の受託も強化したことで管理戸数は1万8000戸にまで増えてきた。さらに15年には横浜で仲介を行うVALOR(バロー:神奈川県横浜市)を5億円で取得。
17年10月には、35億円の資金調達を行い、収益用マンション開発のヴェリタス・インベストメントをグループ化した。
売り上げ規模としてはAMBITIONの2分の1と、同社にとっては大型の取得だった。
前述のPC–DOCTORS取得の狙いは、システム開発の内製化だ。清水社長は「不動産業界において、AI(人工知能)や(ロボットがパソコン上の単純作業を代行する)RPAなどが必須になりつつある。
リテック(realestatetechnologyの略)企業としての進化を目指す当社としてIT企業のグループ化は今後も進めていきたい」と語った。
同社がM&Aにおいて最重要視するのがシナジー効果である。
「取得先の売り上げや利益ではなく、いかに当社の事業にシナジー効果があるかが決め手になる。
1足す1が3にも4にもなることで、グループ全体で成長していく」(清水社長)
(続きは本誌で)

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