企業研究vol.018 渡邊 浩滋 所長

インタビュー|2019年06月21日

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「 賃貸経営で失敗する家主をゼロにすることが目標」と渡邊所長

「大家さん専門税理士」をFC展開

「 賃貸経営で失敗する家主をゼロにすることが目標」と渡邊所長

 実家の大家業を引き継ぎ、空室対策や経営改善に取り組んだ経験から「大家さん専門税理士」として精力的に活動している。2018年には、全国の家主を救うべくFC展開を開始した。その経緯と今後の展望について渡邊浩滋所長に話を聞いた。

実家の大家業が大赤字立て直すため税理士兼大家に

――「大家さん専門税理士」として活動されていますが、業績はいかがでしょうか。

渡邊 開業9年目になりますが、おかげさまで顧問先数は450件を超え、業績は毎年右肩上がりで推移しています。このままではお客様の対応がしきれなくなると思い、昨年から新規の顧問先をストップしている状態です。もう何年も前から税理士業界は厳しいといわれていますし、ある調査ではAIの発展によって需要が無くなる職業ランキングのトップ10にも税理士が入っています。そこで生き残るためには差別化が必要になります。「大家さん専門税理士」を開業時から掲げ、業種特化という差別化を貫いていることが大きいと思います。

――開業当初から勝算はあったのでしょうか。

渡邊 私の父親は専業家主で、所有する物件の管理もしていました。それなりに裕福な生活をしていた感覚があるのですが、父が入院した際に借金取りが実家に来て私たち家族は驚きました。通帳や帳簿を調べてみると、家賃収入をまるごと生活費として使い放題使っていました。貯金は底をつき、借金もあって、固定資産税も払えないほど危機的状況に陥って破産寸前という状態でした。そこで親から経営を引き継ぎ、空室対策や経営改善に取り組みました。引き継いだのは5棟86室の賃貸アパートでしたが、10室以上が空室で年間手残りがマイナス200万円という状況でした。

そこで、新しい管理会社の開拓や、リフォームを施すなど経営と入居率の改善に励みました。その結果、1年後には入居率が97%を超え、収支は手残りがプラス1400万円の良好な経営状態に回復させることができました。
そういった大家としての苦労や税務経験があったので、勝算があったわけではありませんが、この分野だったら勝負することができるのではないかと思いました。

――相談する家主からしても気持ちを理解してもらえるのは心強いですね。

渡邊 そうですね。思うように収入を得られなかったり、空室や資金繰りに悩む家主の気持ちは、私自身も痛いほどわかります。そのうえで相談に乗れるのは、強みの一つになっていると思います。

全国の家主を救うためFCネットワークを構築中

全国を飛び回り講演を行っている

――「大家さん専門税理士」のFC展開を始めたそうですね。

渡邊 全国各地で講演を行っていますが、終了後に参加者から「うちの顧問税理士は、家主の立場になってアドバイスしてくれない」と聞かされるたびに、家主専門と掲げておきながら、私を必要としてくれている方にサービスを届けられていないというジレンマがありました。私自身が動けないのであれば、同じ志を持った仲間を募りサービスを届けようということで、昨年からFC展開を始めました。税理士向けに行っている講演で共感してくれた仲間が手を挙げてくれて、当事務所の他に東京都国立市、仙台、大阪、名古屋、福岡に拠点ができました。

――入会するための基準などはあるのでしょうか。

渡邊 入会金や年会費の他に、16時間の座学や、研修などのカリキュラムを受講していただくことになりますが、受講すれば誰でも入会できるわけではありません。家主に向き合って一緒に考え5年先、10年先でも付き合っていけるような信頼関係を築ける人間性が必要です。会自体の評判やサービスの質を下げてしまうことにもなりかねませんので、人間性を重要視しています。

ウェルカムボードで来所者を迎えるのはスタッフのアイデア

――今後の目標や展望をお聞かせください。

渡邊 拠点数や登録税理士数に関する目標はありません。必要としてくれているすべての方にサービスを届け、賃貸経営で失敗する家主をゼロにすることが目標です。10年以内に達成できるよう頑張ります。

チーム制を導入

チーム制を導入し組織の成長につながった

 開業から9年目を迎え、スタッフ数は20人を超えた。渡邊所長は「事務所が組織として成長していくこと」が次の課題だという。現在、スタッフは20代から60代まで幅広い年代で構成されており、ここ数年は20代から30代の比率が上がってきた。

 ベテランが経験を伝え、若手が安心して業務に取り組める環境をつくり、双方が成長できるようチーム制を導入した。経験豊富なベテランや、税法が得意なスタッフなどでバランスよく配置されている。問題や課題が発生した際にも、チーム内で話し合い、協力して解決できるようになったこともチーム制の大きなメリットだという。病欠や産休などでも、スムーズに引き継ぎができる利便性の高さもある。

 自分のことだけでなく、顧客、チームの仲間や事務所のことにも気を配ることでスタッフ自身と組織の成長につながっているという。

会社概要
社名:税理士・司法書士 渡邊浩滋総合事務所
住所:東京都千代田区九段北1-3-1 VORT九段下5F
設立:2011年12月
従業員数:20人(アルバイト・パート含む)
顧客先数:450件

会社メモ
2011年開業当時から、賃貸不動産オーナー専門の税理士・司法書士として各種税務相談・申告、不動産関連登記手続きを行っている。

社長メモ
1978年東京都江戸川区生まれ。
明治大学法学部卒業。実家の大家業を引き継ぎ、大家兼業税理士として税理士法人に勤務。退職後、同事務所設立。
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