長期化しているスルガ銀行(以下、スルガ:静岡県沼津市)のアパート・マンションの不正融資問題が動き出すか。金融庁は業務改善命令を出しているスルガに対し「報告徴求」を行った。スルガ銀行不正融資被害弁護団(以下、SI被害弁護団)との調停の中で、スルガは初めて損害賠償の支払いに応じる予定だ。ただ、約380人のオーナーとの全面解決のめどはまだ見えない。
金融庁、解決策の報告求める
交渉4年と長期化
金融庁は報告徴求で、スルガに対して①アパート・マンション不正融資問題の解決が停滞している理由の報告②期限を示したうえで、今後早期解決を図っていくための具体的な改善策の2点についての報告を求めたという。シェアハウスで明らかになったスルガの投資用不動産の不正融資については、金融庁が2018年、新規の投資用不動産融資について6カ月間の業務停止処分とした。業務改善命令は解除されず継続中だ。
18年に発覚したシェアハウス不正融資については、オーナーが代物弁済することで大筋の解決を見た。アパート・マンション不正融資については、シェアハウスへの不正融資と同様にオーナーが被害を受けたとして、SI被害弁護団がスルガとの交渉を21年から開始。22年2月には東京地方裁判所に調停を申し立てた。ただ、両者の主張は平行線をたどり、解決への道筋は見えてこなかった。SI被害弁護団側は、不正融資は組織的だとして、シェアハウスと同様、一律の解決を求める。対し、スルガは、中古アパートやマンションは、新築のシェアハウスとは異なり、案件ごとの個別性が強いとして、一括解決はできないとのスタンスを崩さない。




