五郎丸 徹 社長

M&Aで事業拡大地方でも物件開発

亀岡 学研が高齢者向け住宅の事業も行っているのですか。

五郎丸 15年目になります。学研グループの中で、シニア向けサービスや保育事業担当として学研ココファンホールディングスがあり、その中で当社は高齢者向け住宅の開発と運営を担当しています。サービス付き高齢者向け住宅だけでいうと90棟4914戸、有料老人ホームも合わせると110棟5403戸運営しています。高齢者向け住宅を企画から開発、運営までワンストップで行える点が強みです。

亀岡 高齢者ビジネスにはチャンスがあります。10年ほど前にラスベガスのイベントを見てきましたが、規模の大きさに驚きました。アメリカ以上に高齢化が進む日本ではこれから競争が進むでしょう。

五郎丸 M&Aも積極的に進めています。2012年には神奈川の湘南エリアで27棟642戸のシニア向け住宅を運営するユーミーケアを5億円で取得し、700人の従業員も当社の一員になりました。14年にはサ高住の設計やコンサルティングを行うシスケアをグループ化し事業を拡大しています。首都圏だけでなく、石川、熊本など地方でも物件を開発しています。

亀岡 学研のブランド力は大きいでしょう。

五郎丸 そうですね。ただ、課題もあります。その一つは建築費の高騰です。6年前に一坪当たり60万円だったのが、今は100万円にまで上昇しています。入居者のニーズを考えると、家賃に建築コストの上昇分をそのまま転嫁するのは難しいため、企画の段階から運営効率の良い導線設計をするよう気を付けています。細かい工夫でも日常業務の中では大きな違いが出てくるからです。例えば、当社が企画した物件の呼び出しボタンにはマイクを内蔵しており、スタッフは待機場所にいながら入居者と会話ができます。「ご飯の準備はもうできたのか」といった内容もあるので、毎回居室まで足を運んで会話をする手間が省けます。これまでの現場スタッフの経験を物件づくりに生かすことで収益を出せるようになるのです。入居者へのサービス向上にもつながり入居率は95%です。

亀岡 建築費が高いと物件を増やすことも難しいのでは。

五郎丸 事業環境は厳しくとも毎年15拠点のペースで開設していきます。市場が飽和してからでは遅いので早期出店は戦略上重要です。

亀岡 高齢者向けの事業に力を入れるなら、ぜひともイベントを企画するべきです。私は常々、イベントは、活字、テレビ・ラジオ、インターネットに次ぐ、第4のメディアだと考えています。学研の名前で大々的に高齢者向けのイベントを開けば、シニアビジネスの業界をおさえることができるはず。高齢者が抱える大きな問題は、寿命が長くなる中、余生をどうやって生活していくか。イベントでは「生涯現役」をうたい、住宅や介護・生活用品の展示だけではなく、高齢者でもできる仕事を紹介する場にすればいいのです。例えば、賃貸住宅の家主業もそのうちの一つでしょう。

五郎丸 参考になります。

続きは本紙で

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