小宮 敏嗣 社長

地道なオーナー訪問で管理受託に励んだ営業時代

亀岡 1995年に創業者の佐藤仁氏が対談に来られたときは、管理戸数が1000戸で五反田駅前に4店舗目をオープンしたばかりでした。現在はどうですか。

小宮 おかげさまで、管理戸数6700戸、店舗数は12店まで拡大することができました。

亀岡 本紙を開始した89年当初は1000戸を管理していれば立派だと言われていました。佐藤氏は当時、来客の比較的少ない平日に営業社員を外出させオーナー訪問するように指導をしたことが管理戸数1000戸達成に寄与したと言っていました。

小宮 私は会社の設立当初から勤務しており、当時は営業部長をしておりましたが、まさに、その手法で地道に管理戸数を増やしていきました。建設現場の建設業許可票で賃貸住宅が建てられるかどうかを確認したり、市役所に行って建築計画概要書を見たりして顧客のリストを作り、一件ずつ訪問したものです。いつ訪問してどのようなことを言われたのかなどの詳細をリストに残していきました。あとで見返したときに、どうアプローチしていけばいいのか対策を考えることができるからです。一度断られても諦めずに何度も足しげく家主のもとへ通いました。当時の1000戸は、そういった地道な努力の積み重ねでした。

亀岡 30年前の賃貸住宅は自主管理が普通で「なぜお金を払って管理してもらわなければいけないのか」といった考えの家主がほとんどでした。管理戸数を伸ばすことは一筋縄ではいかなかったはずです。苦労しただろうということは容易に想像がつきます。

小宮 そうですね。昔は不動産業といえば仲介で利益を出し、管理は無償といった認識があったので、管理料をいただくといった形で有償に変えていくのは難しいことでした。

亀岡 どのように説得していきましたか。

小宮 「入居者からの滞納に困ることがあるのではないか」「煩わしい集金業務をまとめて請け負う」といった説得が一番です。

亀岡 家主と入居者のもめ事をスムーズに解決するのが管理会社の重要な役割です。しかし、賃貸管理業の面白いところはもっとほかにあります。それは、住宅業界とは別の関連業界で流通が発生しやすい点です。

小宮 具体的にはどういうことでしょうか。

亀岡 賃貸住宅は住宅産業ではなく、システム産業です。あらゆる産業に結びついてくる部分が面白いのです。例えば、100万戸を管理する大東建託が、全戸をオール電化にする方針を打ち出せば、電子部品の供給メーカーや家電メーカー、運送業などあらゆる業界に多大な影響を与えます。融資を行う銀行、リスクや損害に対しては保険会社も関わってきます。家主が資産を増やしたら次は株で運用することを選ぶかもしれません。当社主催の賃貸住宅フェアで東京ビッグサイトの4階からアトリウムに向け「日本経済を制する者は賃貸市場を制する」といった縦断幕を掲げた通り、賃貸業界はあらゆる業界に対し影響力があるのです。

小宮 あの縦断幕にはそういった意味が込められていたのですね。

亀岡 しかし、そういった影響力を持つには、やはり管理戸数の多さが重要になってきます。賃貸業界は面白いもので、皆がトップに立つことを考えています。年代前後であれば、御社の管理戸数6700戸は圧倒的だったと言えます。しかし、現在のトップ企業は100万戸を超えています。かつての新日本製鐵と住友金属工業が合併し新日鐵住金となったように、60万戸を管理する積水ハウスグループと50万戸を管理する大和リビングが明日にでも合併してしまったとしてもおかしくはありません。業界でのし上がるためには今やM&Aしか方法がありません。

小宮 我々は地元の家主の利益を一番に考える地域密着型に特化したいと考えています。この場合、どうするのが得策でしょうか。

亀岡 地域密着型の管理会社同士が集まっていくのがいいでしょう。そうやってトップを打ち負かしていったら面白いですね。

続きは本紙で

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