前田 研一 社長

流通部門から分社化ネット集客で成長

亀岡 野村グループの方と会うのは久しぶりです。

前田 特に野村証券の昭和の歴代社長と親交が深かったと聞いています。私は最初から野村不動産に入社したので野村証券に詳しいわけじゃありませんが。

亀岡 野村不動産で思い出深い方は元社長の平山亮太郎さん(野村証券の元副社長)で、野村徳七さん(野村財閥の創始者)の書生でした。雑巾がけをやりながら能力や人柄を見込まれ、出世の階段を駆け上がりました。

前田 私が入社した昭和60年にはすでに二人ともお亡くなりになられていました。私の世代では野村不動産ホールディングスの中野淳一元社長・元会長が有名で、先見の明に富んだカリスマ的存在でした。

亀岡 自社グループのビルや店舗を管理する不動産会社でしかなかった昭和30年代と比べると、今はホールディングス化されて規模も業務内容も大分変わりました。

前田 今はデベロッパーとしての側面が強くなっていますよね。売買仲介業の弊社の話でいうと、野村不動産の流通部門が2000年に分社化され、私も立ち上げに参画しました。当時の花形が開発部門であった一方、流通部門は亜流と認識されてしまう傾向にありましたが、中野元社長・元会長が「俺はこの仕事が好きだし、この仕事は伸びる」と分社化を決断し、北村章さん(野村不動産アーバンネット初代社長)が実現したという経緯があります。

亀岡 まさに売買仲介業を本流に据えた瞬間ですね。年間でどの程度取引されていますか。

前田 直近の成績でいうと、年間の売買仲介件数は8272件(2016年4月~17年3月、野村不動産グループでの数値)、受入仲介手数料は302億8100万円(同)です。

亀岡 何が御社をここまで伸ばしたのでしょう。

前田 成長要因をあげればそれこそキリがないでしょうが、ひとつ挙げるとすれば、不動産情報サイト『ノムコム』が大きく貢献しています。それなりの資金を投下してきて業界首位のサイトに育ち、売買仲介の間口を広げて店舗網をカバーしました。月間利用者数はスマートフォンユーザーだけで146万人(17年2月、ニールセンデジタルのデータをもとに自社推計値を算出)、会員数は20万人(18年1月時点)、登録物件数は1万9300件です。

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亀岡 インターネットでの集客は、かなり初期から取り組んでいたと聞いています。

前田 『ノムコム』の構想を始めたのは、国内インターネットの人口普及率がまだ2割にも満たない黎明期でした。サイトが立ち上がった当初も「ウェブで仲介が務まるわけがない」という風潮が業界内外でありましたが、中野元社長・元会長が「ネットは必ず伸びる。特に野村不動産アーバンネットは売買仲介の会社としては後発なのだから、特色を出すためにもここは思い切って投資しなさい」と言い、その後押しのもと、それなりの資金を投下してきました。

(続きは本紙で)

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